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異邦人の庭 〜secret garden〜
第3章 コンテ・ド・シャンボールの想い人
密かな響めきが、大広間に響き渡る。
千晴の瞳が大きく見開かれた。
「…紗耶ちゃん…!
ありがとう…!」
千晴の大きなしなやかな手が、紗耶のその手を包み込む。

そのひんやりとした…けれどどこか安心感を齎らす手…。

…千晴お兄ちゃまの手に触れるの…小さな時に手を繋いでいただいてから、初めてだな…。
ぼんやりと、思う。

「紗耶…!本当に、いいのか?
お前は千晴くんが好きなのか?
よく考えたのか?
紗耶はまだ十八なのだよ。
これから大学受験、入学、学生生活と新しい世界やかけがえのない青春を経験できるのだ。
それなのに、安易に結婚してしまっていいのか?」
政彦が教え諭すように言葉を重ねる。
「…お父様…私…」

突然の出来事と自分の決心に混乱している紗耶の手を優しく握りしめながら、千晴は一つの提案を口にした。
「政彦兄さん。兄さんのご心配はよく分かります。
僕も紗耶ちゃんから可能性や未来を奪う気は全くありません。
紗耶ちゃんにはきちんと大学生になって、好きなことを学んで、伸びやかに成長していただきたいと思っています」

その言葉に政彦は意外そうに眉を寄せた。
「…それでは…?」

「ええ。紗耶ちゃんには来年春から我が家に来ていただきたいと思っていますが、それは婚約者として…です。
この屋敷から大学に通い、普通の大学生の生活を送っていただきます。
そうして、共に暮らして私のことをたくさん知って貰いたい。
…その上で、納得して私との結婚を決意して貰いたいのです。
正式な結婚はそれからで構いません」
穏やかな…けれどきっぱりとした言葉に、政彦は少しずつ態度を軟化させた。

「…なるほど…。
婚約者として高遠家で…謂わばホームステイさせていただくわけだな…」

…それならば、のちに紗耶が気が変わり破談になったとしても、紗耶の戸籍や経歴に傷はつくまいと、政彦は銀行家らしい素早い計算で算段を付けたのだ。

…けれど、政彦にはまだ一つ、どうしても譲れない懸念があったのだ…。
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