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異邦人の庭 〜secret garden〜
第15章 カーネーション・リリー・リリー・ローズ
千晴は一瞬躊躇い…しかし、直ぐに徳子に頭を下げた。
そうして、傍らの紗耶に労し気な眼差しを残しながら、通り過ぎ、徳子の隣の椅子にしなやかに腰を下ろした。
…そこに座った千晴はもはや、優しい「千晴お兄ちゃま」の貌ではない。
高遠本家の若き当主の優雅だが厳格な表情に変わっていた。

徳子がその猛禽類のような鋭い瞳で紗耶を見据えた。

「…紗耶さん。さあ、皆の前に…私の前にいらっしゃい」

…まるでお白洲だと、紗耶は思った。
そして、自分は罪人なのだと、紗耶は逃げ出してしまいたいような恐怖と闘いながら、思った。
居並ぶ高遠一族たちの間をぎこちなく歩きながら、紗耶は徳子と千晴の前に進んだ。

「そこに跪きなさい」
徳子の鋭い一声が飛んだ。

辺りが喧騒しい潮騒のように騒めいた。
千晴が息を呑んだ。

「お祖母様…!
それは、あまりにも…」

徳子はそれには答えず、淡々と繰り返した。

「跪きなさい。紗耶」

「大お祖母様…!
お願いでございます!
どうか、紗耶にお慈悲を…!」
紗耶を庇おうと、泣きながら前に走り出た紫織に、冷たい叱咤の声が飛んだ。

「控えなさい!
私は紗耶に言っているのです。
貴女の出る幕ではありません」

とりつく島もない徳子に、涙を流す紫織を政彦が抱きかかえ、椅子に座らせた。

「落ち着きなさい。紫織…」
「…貴方…!」

両親の様子に、紗耶は居ても立っても居られなかった。
自分のせいで、お母様が…お父様が…辛く苦しい思いをされている…!

…お母様は、大丈夫かしら…。

お腹の赤ん坊が何より気掛かりだった。

紗耶は口唇を噛み締め、ゆっくりと片膝を折った。




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