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異邦人の庭 〜secret garden〜
第15章 カーネーション・リリー・リリー・ローズ

紫織がか細い悲鳴を上げ、口を覆った。
「大お祖母様!
紫織と紗耶とは別問題です。
こんなところで紫織の過去を言及しないでいただきたい!」
政彦が立ち上がり、怒りを露わに訴える。
穏やかな政彦のいつになく激しい様子に、親族一同はざわざわと騒めき始めた。
…政彦が先の徳子の発言を肯定したことに、驚き、そうして紫織を改めて好奇の眼差しで眺めだしたのだ。
無理もない。
群を抜く稀なる美貌の紫織は、高遠一族の男性たちにとっては高嶺の花…誰もが憧れ、その麗しき花を妻にできた政彦を妬むほど、羨望の存在だったからだ。
その紫織のスキャンダラスな香りのする暴露話だ。
興味を持たぬはずがない。
一族の女性陣からは、才色兼備の上アロマセラピストとして成功し、華やかに活躍している紫織は、羨むと同時に、嫉ましい感情を掻き立てる存在であった。
ましてや、一人娘の紗耶が本家当主の千晴の花嫁に決まってからは、それは密かに激しさを増していた。
その紫織の過去の男と言うスキャンダルがあろうことか徳子により齎されたのだ。
女たちは一斉に溜飲を下げ、これ見よがしに紫織を蔑むような冷たい視線で無遠慮に眺めたのだった。
「大お祖母様!
紫織と紗耶とは別問題です。
こんなところで紫織の過去を言及しないでいただきたい!」
政彦が立ち上がり、怒りを露わに訴える。
穏やかな政彦のいつになく激しい様子に、親族一同はざわざわと騒めき始めた。
…政彦が先の徳子の発言を肯定したことに、驚き、そうして紫織を改めて好奇の眼差しで眺めだしたのだ。
無理もない。
群を抜く稀なる美貌の紫織は、高遠一族の男性たちにとっては高嶺の花…誰もが憧れ、その麗しき花を妻にできた政彦を妬むほど、羨望の存在だったからだ。
その紫織のスキャンダラスな香りのする暴露話だ。
興味を持たぬはずがない。
一族の女性陣からは、才色兼備の上アロマセラピストとして成功し、華やかに活躍している紫織は、羨むと同時に、嫉ましい感情を掻き立てる存在であった。
ましてや、一人娘の紗耶が本家当主の千晴の花嫁に決まってからは、それは密かに激しさを増していた。
その紫織の過去の男と言うスキャンダルがあろうことか徳子により齎されたのだ。
女たちは一斉に溜飲を下げ、これ見よがしに紫織を蔑むような冷たい視線で無遠慮に眺めたのだった。

