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異邦人の庭 〜secret garden〜
第15章 カーネーション・リリー・リリー・ローズ
「お母様…!」
「紗耶ちゃん…ごめんなさい…。
私のせいで…私のせいで…貴女の輝かしい人生を台無しにしてしまったわ…」
紫織が子どものように泣きじゃくる。

…お母様がこんなに泣くなんて…。
母親のとめどない涙に紗耶は驚いた。
紗耶の知る紫織はいつでも落ち着いて、取り乱したところなどひとつもない優美で淑やかな女性だったからだ。

紗耶は紫織の氷のように冷え切った美しい手を握りしめた。
「お母様、泣かないで。
私、少しも後悔していないわ。
藤木先生に逢えて良かったと思っているわ」
「紗耶ちゃん…!」
水晶のような涙を浮かべたまま、紫織は美しい瞳を見張った。

紗耶はそっと微笑んだ。
「お母様もそうよ。
藤木先生との恋を後悔なさらないで。
お母様は少しも引け目に思うことないわ。
お父様はお母様の過去も含めて、今のお母様を愛していらっしゃるはずよ。
…そうよね?お父様?」

振り返る先に、政彦が力強く頷く。
「もちろんだよ。
紫織。
私はどんな紫織も愛している。
どんな紫織も愛おしい。
だから君が恥ずべきことは何もないんだ」

「…貴方…!」
紫織は静かに泣き崩れた。
そんな妻に政彦は静かに歩み寄り、優しく抱き起こした。

仲睦まじい両親を見遣り、ほっと息を吐く。
そうして、紗耶は勇気を奮い起こし、立ち上がった。

「誰が立って良いと言いましたか?」
猛禽類のような眼差しでじろりと睨みつけられても、紗耶は怯まなかった。

「…大お祖母様。私、後悔していません。
千晴お兄ちゃまには本当に申し訳ないけれど…どうお詫びしても許されはしないけれど…でも…先生を愛しています。
これからも愛し続けます。
だから、千晴お兄ちゃまとは結婚できません」

親族一同が再び、小さな嵐のように騒めき立った。

再び華子が荒々しく立ち上がった。
そうして紗耶を忌々しげに睨みつけると、徳子に叫ぶように直訴した。
「まあ、なんて図々しいんでしょう!
大お祖母様!
私は納得できませんわ。
こんな不埒な行為を、大お祖母様はお許しになるおつもりですか?
…こんな不道徳なこと、千晴様の婚約者として…いいえ、高遠一族の人間として世間に示しがつかないわ。
紗耶さんには罰を…罰を与えてくださいませ!」
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