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異邦人の庭 〜secret garden〜
第15章 カーネーション・リリー・リリー・ローズ
「紗耶ちゃん!」
「紗耶!」
紫織と政彦が同時に叫んだ。

「私は、家を出ます。
高遠一族とはこれから一切関わりなく、ひとりで生きてまいります。
ですから、両親には一切お咎めなきようお願いいたします。
これから生まれて来る赤ちゃんについてもです。
決して肩身狭く生きることがないよう、どうかお願いいたします」

「紗耶ちゃん!駄目よ!」
紫織が泣きながら取り縋る。
「貴女ひとりでどうやって生きていくというの⁈
そんなこと、させないわ。
…紗耶ちゃん。大お祖母様は慈悲深いお方です。
お謝りなさい。すべてを謝って、お許しを乞いなさい。
そうすれば、きっとお許しくださるわ」

「お母様。私、これからも先生を愛し続けたいの。
私の恋を諦めたくないの。
だから、謝れないわ。
…いいえ、謝りたくないわ」
毅然と言い放つ紗耶に紫織がはっと息を呑んだ。


「さっきから黙って聞いていれば…盗っ人猛々しいとはこのことだわ!
大お祖母様!
今こそ紗耶さんに罰を下して下さいませ。
そうでないと、名門高遠家の名前に大きな傷が付きます!
紗耶さんは高遠家の家名に泥を塗ろうとしているのですよ!」

華子がつかつかと紗耶に歩み寄り、紗耶の肩を手荒く押した。

「…あ…!」
ゆらりと後ろによろめいた紗耶を、華子が忌々しげに睨みつけた。
…その時初めて、紗耶は華子が如何に自分を憎んでいたのかを知るのだった。

「…私は昔から貴女が大嫌いだったわ。
いつも大人しげで儚げな風情をして…千晴様の気を引こうとしていた。
何かあっても庇われたり慰められるのはいつも貴女!
弱々しくて幼なげなふりをしていたら、大人たちはすぐに貴女に同情したわ。
叱られるのはいつも私。意地悪で気の強い私。
けれど、何?
貴女のしでかしたことは何?
これがスキャンダルでなくて何だというの?
それなのに、まるで自分は正しいみたいな涼しい貌をして…!
正直に恋に生きるのが正義なの?
そんなに綺麗事の世界が好きなら、やってみたらいいんだわ!
貴女みたいな甘ったれで泣き虫なグズに、一体何が出来ると言うのよ!
貴女なんか、弱々しくて泣き虫な可哀想なカナリヤだもの…!
外の世界に…この綺麗なお屋敷とお庭から、ひとりで出てご覧なさい。
一日だって生きてはいけないわ!」

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