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異邦人の庭 〜secret garden〜
第15章 カーネーション・リリー・リリー・ローズ

…その美しいひとは千晴の気配に気づいたのか、長く濃い睫毛を震わせるようにして、ゆっくりと瞳を開いた。
そうして枕元に立つ千晴を見上げ、優美な柳眉を寄せた。
「…千晴さん…」
掠れた声でその珊瑚色の口唇を震わせる。
「紫織さん…。
気がついた?
良かった…」
弱々しい風情の紫織に、胸をぎゅっと掴まれるような庇護欲に似た感情に襲われ、千晴は寝台の傍に跪く。
「…紗耶…紗耶ちゃんは…?」
そこにいない我が娘を探すように、不意に紫織は上体を起こした。
千晴が慌てて紫織の華奢な肩を抑える。
「まだお起きになっては駄目です。
貧血を起こされたそうです。
…ご安心下さい。お腹の赤ちゃんは大丈夫ですよ。
けれど念のため、暫く安静にされてくださいと、医師が申しておりました」
紫織は涙ぐみながら、千晴の手に取り縋る。
「…紗耶は…無事なのですか?」
「大丈夫です。
もちろん無事です。
紗耶ちゃんは政彦義兄さんと奥沢のお家に一度戻られました。
今後のことを話し合うそうです。
…政彦義兄さんは今、紫織さんが紗耶ちゃんにお会いになると、きっと興奮されてお身体に触るから、今晩はここに泊まるようにと仰っていました」
優しく説明しながら、ブランケットを直してやる。
…こんな時なのに、紫織の側に…紫織と二人きりでいられる僥倖を千晴は密かに噛み締める。
そうして枕元に立つ千晴を見上げ、優美な柳眉を寄せた。
「…千晴さん…」
掠れた声でその珊瑚色の口唇を震わせる。
「紫織さん…。
気がついた?
良かった…」
弱々しい風情の紫織に、胸をぎゅっと掴まれるような庇護欲に似た感情に襲われ、千晴は寝台の傍に跪く。
「…紗耶…紗耶ちゃんは…?」
そこにいない我が娘を探すように、不意に紫織は上体を起こした。
千晴が慌てて紫織の華奢な肩を抑える。
「まだお起きになっては駄目です。
貧血を起こされたそうです。
…ご安心下さい。お腹の赤ちゃんは大丈夫ですよ。
けれど念のため、暫く安静にされてくださいと、医師が申しておりました」
紫織は涙ぐみながら、千晴の手に取り縋る。
「…紗耶は…無事なのですか?」
「大丈夫です。
もちろん無事です。
紗耶ちゃんは政彦義兄さんと奥沢のお家に一度戻られました。
今後のことを話し合うそうです。
…政彦義兄さんは今、紫織さんが紗耶ちゃんにお会いになると、きっと興奮されてお身体に触るから、今晩はここに泊まるようにと仰っていました」
優しく説明しながら、ブランケットを直してやる。
…こんな時なのに、紫織の側に…紫織と二人きりでいられる僥倖を千晴は密かに噛み締める。

