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異邦人の庭 〜secret garden〜
第15章 カーネーション・リリー・リリー・ローズ
…紫織の腹部はなだらかな優しい曲線を描き、明らかに隆起していた。

それは、華奢でほっそりとした肉付きの薄い紫織には不似合いなものだったが、ひれ伏したくなるような聖なる神聖さと、温かな母性を匂い立たせる美しさに満ちていたのだ。

「…紗耶の時より大きくて、よく動くのですよ。
もうお腹を蹴ってきて…。
…男の子かもしれません…」
気恥ずかしさと…それを上回る母になる誇らしさを滲ませながら微笑み、紫織は腹部をその白い手で摩った。

「…男の子ですか…」
千晴にもじわじわと嬉しさが染み入ってくる。
紫織のお腹の子どもは、そのまま、紫織だからだ。
…紫織の分身が、ここにいるのだ。

「…さあ、お手を…」
紫織がしなやかな動きで千晴の手を取り、腹部に導いた。
…それは、大胆とも言える動きだった。
けれど、決して淫りがましい匂いは感じられなかった。
…ただ、母になる者特有の確固たる自信に満ちた動きであった。

「…分かりますか…?
今、赤ちゃんが動いていますわ…」
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