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異邦人の庭 〜secret garden〜
第15章 カーネーション・リリー・リリー・ローズ

「へえ…!
それでマジでサーヤは家を出てきちゃったんだ!」
アネゴの家のリビングで、紗耶の話を聞き覚えたアネゴは目を丸くして首を振った。
「あんたって、やっぱ意外性の女だねえ。
普段は大人しくて素直なのに、いざというときは信じられないような突拍子もないことをしてさ。
ほんと、サーヤといると飽きないわあ」
くすくす笑いながらも、アネゴは温かなコーヒーを淹れ直してくれた。
ぶすっとした表情のまま、隼人が口を挟む。
「…だけど、本気なのか?
本気で藤木を探すのか?
てかその前にさ、家を出て…て、どうすんだよ。これから」
…隼人には散々迷惑をかけてしまった。
アネゴの機転で隼人と紗耶が駆け落ちをしたことになっていたから、あわや警察まで出動しそうな事態になってしまったのだ。
平謝りに謝る紗耶に
「別に俺はいいけどよ。
どうせアネゴが素っ頓狂な小芝居したんだろうなとは想像できたからよ」
と、相変わらずの呆れ顔だったのだ。
けれど、結局は隼人は紗耶を大層心配してくれているらしい。
「お前みたいなお嬢様が一人暮らしして、バイトで生計を立てるってか?
無理無理。やめときな。
授業料と家賃と生活費で毎月いくらかかると思ってんだよ」
「…授業料は…もう父が4年分払い込んでくれていたんです…」
小さな声で答える。
「え〜ッ⁈マジか!!」
「さすがブルジョワは違うな!
4年分一括払いかよ。
…400万以上はするぜ…」
二人が一斉に声を上げた。
「…そう…ですよね…」
…先ほど、同じことを学生課でも言われた。
奨学金を申請しようと窓口で尋ねると、気難しそうな初老の主任がやってきて台帳と紗耶を見比べ、ふんと鼻を鳴らした。
「…授業料は4年間分全納されてるよ」
「え?…そうなんですか…?」
驚くと同時に、何も知らない自分を恥じた。
主任の男は台帳を閉じながら、淡々と言った。
「…あんたねえ…。
何で親御さんと喧嘩したかしらないけどね。
4年分の授業料を全納なんて大変なことなんだよ。
うちに帰ってちゃんと謝んなさいよ」
それでマジでサーヤは家を出てきちゃったんだ!」
アネゴの家のリビングで、紗耶の話を聞き覚えたアネゴは目を丸くして首を振った。
「あんたって、やっぱ意外性の女だねえ。
普段は大人しくて素直なのに、いざというときは信じられないような突拍子もないことをしてさ。
ほんと、サーヤといると飽きないわあ」
くすくす笑いながらも、アネゴは温かなコーヒーを淹れ直してくれた。
ぶすっとした表情のまま、隼人が口を挟む。
「…だけど、本気なのか?
本気で藤木を探すのか?
てかその前にさ、家を出て…て、どうすんだよ。これから」
…隼人には散々迷惑をかけてしまった。
アネゴの機転で隼人と紗耶が駆け落ちをしたことになっていたから、あわや警察まで出動しそうな事態になってしまったのだ。
平謝りに謝る紗耶に
「別に俺はいいけどよ。
どうせアネゴが素っ頓狂な小芝居したんだろうなとは想像できたからよ」
と、相変わらずの呆れ顔だったのだ。
けれど、結局は隼人は紗耶を大層心配してくれているらしい。
「お前みたいなお嬢様が一人暮らしして、バイトで生計を立てるってか?
無理無理。やめときな。
授業料と家賃と生活費で毎月いくらかかると思ってんだよ」
「…授業料は…もう父が4年分払い込んでくれていたんです…」
小さな声で答える。
「え〜ッ⁈マジか!!」
「さすがブルジョワは違うな!
4年分一括払いかよ。
…400万以上はするぜ…」
二人が一斉に声を上げた。
「…そう…ですよね…」
…先ほど、同じことを学生課でも言われた。
奨学金を申請しようと窓口で尋ねると、気難しそうな初老の主任がやってきて台帳と紗耶を見比べ、ふんと鼻を鳴らした。
「…授業料は4年間分全納されてるよ」
「え?…そうなんですか…?」
驚くと同時に、何も知らない自分を恥じた。
主任の男は台帳を閉じながら、淡々と言った。
「…あんたねえ…。
何で親御さんと喧嘩したかしらないけどね。
4年分の授業料を全納なんて大変なことなんだよ。
うちに帰ってちゃんと謝んなさいよ」

