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異邦人の庭 〜secret garden〜
第15章 カーネーション・リリー・リリー・ローズ
「アルバイトはさ、ちょうどあたしが教えてる塾の講師が一人就活でやめちゃってさ。
サーヤ、成績優秀だから塾講やってみない?
サーヤのこと話したら、うちの塾長がぜひに!て」
アネゴの家への引っ越しが一段落した夜のこと、アネゴがさりげなく切り出した。

アルバイト…早く探さなくては…と思っていたのだが、引っ込み思案の紗耶には、なかなかにハードルが高かった。
学生課の様々なアルバイトの求人を見ては、躊躇する日々が続いていたのだ。
だから、アネゴの紹介は願ってもなかった。

…でも…
「わ、私に教えられるでしょうか…?
私、声が小さいし…口下手だし…」
まごまごと口籠る紗耶に、アネゴは明るく手を振った。

「大丈夫大丈夫。
塾って言っても大手進学塾じゃなくて、寺子屋に毛が生えたようなこじんまりした塾なんだ。
…不登校で学校行けない子とか、大人しくて普通の塾ではなかなか質問できない子とか、落ちこぼれちゃって授業に着いていけない子とかが結構いてさ、その子たちは少人数クラスなんだよ。
そこの講師を募集してんの。
まあ、半分の役割は親切な良き相談相手…て感じかな。
…だからあんたの優しい性格が活かせると思うんだよねえ…」
アネゴはにっこり笑った。
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