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異邦人の庭 〜secret garden〜
第15章 カーネーション・リリー・リリー・ローズ
「まあ、紗耶ちゃん。もうアルバイトもしているの?」
かなり目立ったお腹を抱え、アネゴの家に紫織が様子を見にやってきたのは、それから二週間ほどしてのことだ。
…ゆったりとした白いニットを着た紫織は、もう完璧に妊婦といった姿で…けれどやはり相変わらずきらきらと輝くダイヤモンドのように美しかった。

出迎えたアネゴがあんぐりと口を開け…
「…ちょっとサーヤ!
あたしの知ってる世のオカンとは人種が違うよ!
なにこの綺麗な女優さんみたいなお母様は!」
と声を上げ、紗耶を振り返ったのだ。

「紗耶の母でございます。
この度は紗耶が大変お世話になりまして、本当に申し訳ございません。
心より御礼申し上げます」
丁寧に深々と頭を下げた紫織に、アネゴは慌てて手を振った。
「やだ、お母様ってば!
そんないいんスよ。
サーヤのおかげでお正月はご馳走食べられたし、サーヤは本当によく気がつくから色々手伝ってもらえて本当、あたしの方が助かってるんスから!」


…事実上勘当された紗耶は、大晦日も正月も自宅に帰る訳にはいかなかった。
紫織は大層寂しがり不憫がり、船場吉兆から取り寄せた豪華な三段重のお節を送ってきた。
それだけでは飽き足らず、千疋屋のメロンに苺にシャインマスカット、東京會舘のマロンシャンテリーと贈り物は続き、紗耶が困惑するほどだった。

「サーヤが来てから食生活がいきなりセレブだよ。
超超ラッキー!」
アネゴがご機嫌で笑った。

「…すみません…。
私のうち、やっぱりすごく過保護ですよね…」
紗耶はため息をついた。

高遠の家を出て、アネゴとシェアハウスするようになり、如何に自分が温室育ちで、周りの人々に傅かれてきたか…初めて分かったのだ。

一人暮らしは…正確には二人暮らしだが…身の回りのこと、生活のすべてを自分でやらなくてはならない。
買い物、炊事、洗濯、掃除…。
隣家の大家の世話や話し相手。
それに加えて大学の授業とサークル活動、そしてアルバイト…。

…本当に目が回るほどに忙しかった。
けれど初めての経験の連続の日々は、新鮮でやり甲斐があり、とても楽しかったのだ。

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