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異邦人の庭 〜secret garden〜
第15章 カーネーション・リリー・リリー・ローズ
「…ああ…本当だわ…!
お母様によく似ている…」
思わず声を上げ、硝子窓に張り付くように見つめる。
…確かによく似ていた。
生まれたばかりの新生児なのに肌の色が白く、透き通るようだった。
その小さな貌には目鼻立ちがきちんと整い、見るからに美しい赤ん坊だった。
産着から覗く作りもののように小さな手を盛んに動かしているのが、実に愛らしい。
「…私の…弟…」
呟くと、熱いものが込み上げてきた。
…私の…弟なんだ…。
紗耶の肩に温かく大きな千晴の手が置かれた。
「…そう…。紗耶ちゃんの弟だよ。
君はお姉様になったんだ」
…慈しむような優しい声だった。
「…千晴お兄ちゃま…」
「うん?」
熱い涙を堪えて、真っ直ぐに赤ん坊を見つめる。
「…私、弟に恥ずかしくない生き方をしたいわ…」
少し驚いたように千晴が紗耶を見下ろす。
「…紗耶ちゃん…」
「…今はまだ…皆んなに迷惑かけてばかりだし、ちっとも誇れる生き方をしていないけれど…いつかきっと…堂々と弟に私の生き方を話せる日が来るように…頑張るわ…」
千晴が微かに微笑んだ気配がした。
「…うん。きっと来るよ…」
…昔のように、優しい手が紗耶の髪をそっと撫でる。
そうして二人はいつまでも、生まれたばかりの赤ん坊を眺めるのだった。
お母様によく似ている…」
思わず声を上げ、硝子窓に張り付くように見つめる。
…確かによく似ていた。
生まれたばかりの新生児なのに肌の色が白く、透き通るようだった。
その小さな貌には目鼻立ちがきちんと整い、見るからに美しい赤ん坊だった。
産着から覗く作りもののように小さな手を盛んに動かしているのが、実に愛らしい。
「…私の…弟…」
呟くと、熱いものが込み上げてきた。
…私の…弟なんだ…。
紗耶の肩に温かく大きな千晴の手が置かれた。
「…そう…。紗耶ちゃんの弟だよ。
君はお姉様になったんだ」
…慈しむような優しい声だった。
「…千晴お兄ちゃま…」
「うん?」
熱い涙を堪えて、真っ直ぐに赤ん坊を見つめる。
「…私、弟に恥ずかしくない生き方をしたいわ…」
少し驚いたように千晴が紗耶を見下ろす。
「…紗耶ちゃん…」
「…今はまだ…皆んなに迷惑かけてばかりだし、ちっとも誇れる生き方をしていないけれど…いつかきっと…堂々と弟に私の生き方を話せる日が来るように…頑張るわ…」
千晴が微かに微笑んだ気配がした。
「…うん。きっと来るよ…」
…昔のように、優しい手が紗耶の髪をそっと撫でる。
そうして二人はいつまでも、生まれたばかりの赤ん坊を眺めるのだった。