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異邦人の庭 〜secret garden〜
第15章 カーネーション・リリー・リリー・ローズ
「…軽いわ…。
まるで、天使みたい…」
ふんわりと紗耶の手に掛かる重さはまるで羽根枕だ。
…けれど温かく、甘い乳の匂いが赤ん坊の存在を健気に示していた。
「…可愛い…本当に可愛い…!」
感激で胸が一杯になる。
「お名前はもう決めたのですか?」
おくるみの中を愛おしげに覗き込みながら、千晴が尋ねる。
「ああ。紫織と二人で相談して決めたよ。
…りひと…真理の理に人で、りひとと名付けた」
「…理人…。
素敵な名前ですね…。
ね、紗耶ちゃん」
「ええ。本当に…。
とても良いお名前だわ」
紗耶は赤ん坊…理人をぎゅっと抱きしめた。
…私の弟…。
健やかに、幸せに成長してほしい。
温かなじんわりとした…けれど切なる願いが沸々と湧き上がる。
理人を覗き込む千晴と眼が合った。
「…千晴お兄ちゃま、抱っこなさる?」
千晴の鳶色の瞳が嬉しげに見開かれた。
「いいのかな?」
紫織は微笑みながら頷いた。
「もちろんですわ」
政彦が砕けた表情を改め、礼を尽くすように紳士的に頭を下げた。
「…どうか理人に高遠家当主から祝福を与えて下さい」
まるで、天使みたい…」
ふんわりと紗耶の手に掛かる重さはまるで羽根枕だ。
…けれど温かく、甘い乳の匂いが赤ん坊の存在を健気に示していた。
「…可愛い…本当に可愛い…!」
感激で胸が一杯になる。
「お名前はもう決めたのですか?」
おくるみの中を愛おしげに覗き込みながら、千晴が尋ねる。
「ああ。紫織と二人で相談して決めたよ。
…りひと…真理の理に人で、りひとと名付けた」
「…理人…。
素敵な名前ですね…。
ね、紗耶ちゃん」
「ええ。本当に…。
とても良いお名前だわ」
紗耶は赤ん坊…理人をぎゅっと抱きしめた。
…私の弟…。
健やかに、幸せに成長してほしい。
温かなじんわりとした…けれど切なる願いが沸々と湧き上がる。
理人を覗き込む千晴と眼が合った。
「…千晴お兄ちゃま、抱っこなさる?」
千晴の鳶色の瞳が嬉しげに見開かれた。
「いいのかな?」
紫織は微笑みながら頷いた。
「もちろんですわ」
政彦が砕けた表情を改め、礼を尽くすように紳士的に頭を下げた。
「…どうか理人に高遠家当主から祝福を与えて下さい」