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異邦人の庭 〜secret garden〜
第15章 カーネーション・リリー・リリー・ローズ
病室の紫織と政彦に別れを告げる。
「身体に気をつけて頑張りなさい」
千晴の手前、言葉少なだが愛情溢れる眼差しで政彦は紗耶を送り出してくれた。
「はい。お父様。
…ありがとうございます」
紗耶は深々と頭を下げた。
「…紗耶ちゃん…」
紫織が理人を抱いたまま、美しい眼元を潤ませる。
…時々アネゴの家に様子を見に来る紫織とは違い、政彦は二宮家の当主としての筋を通すために、ただの一度も足を運んだりしなかった。
けれど、時折り届くメールは、紗耶への細やかな愛に溢れたものだった。
政彦はまだどれだけ紗耶を心配しているかと思うと、胸が痛む。
…だからこそ、せめて少しでも安心してもらえるようにしっかりと自立してゆかなくてはと思う。
「家まで送るよ」
千晴が病院のエントランスで紗耶に告げた。
「…紗耶ちゃんに大事な話がある」
「…え?」
千晴の鳶色の瞳が、春の明るい陽光に照らされ、きらりと輝いていた。
「身体に気をつけて頑張りなさい」
千晴の手前、言葉少なだが愛情溢れる眼差しで政彦は紗耶を送り出してくれた。
「はい。お父様。
…ありがとうございます」
紗耶は深々と頭を下げた。
「…紗耶ちゃん…」
紫織が理人を抱いたまま、美しい眼元を潤ませる。
…時々アネゴの家に様子を見に来る紫織とは違い、政彦は二宮家の当主としての筋を通すために、ただの一度も足を運んだりしなかった。
けれど、時折り届くメールは、紗耶への細やかな愛に溢れたものだった。
政彦はまだどれだけ紗耶を心配しているかと思うと、胸が痛む。
…だからこそ、せめて少しでも安心してもらえるようにしっかりと自立してゆかなくてはと思う。
「家まで送るよ」
千晴が病院のエントランスで紗耶に告げた。
「…紗耶ちゃんに大事な話がある」
「…え?」
千晴の鳶色の瞳が、春の明るい陽光に照らされ、きらりと輝いていた。