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異邦人の庭 〜secret garden〜
第15章 カーネーション・リリー・リリー・ローズ
「…そう。
梢ちゃんの花嫁姿、そんなに綺麗だったのね」
隣家の大家…アネゴの遠縁の老婆、岡嶋きぬ子は紗耶の報告に嬉しそうに眼を細めた。
大家のきぬ子の自宅居間は、和洋折衷の趣きのある造りだ。
家具も受け継がれた飴色のアンティークものが大切に使われている。
どこか懐かしい…温かみのある古い家…。
だからとても居心地が良く、紗耶は大好きだった。
きぬ子は八十になる品のある老婆で、アネゴと親戚というだけあって、朗らかな性格をしている。
そのため、紗耶はすぐに自分の祖母のように懐いたのだ。
「はい。
白無垢が本当にお似合いで…。眩しいくらいお綺麗でした。
きぬ子さんにも見て欲しかった…て、アネゴ…梢さん、仰っていました」
引き出物のバームクーヘンを切り分けながら、紗耶はきぬ子に笑いかけた。
「私はもうあんな山寺には行けませんよ。
周りに迷惑かけちゃうからね。
でも、こうして紗耶ちゃんが詳しく話してくれたから、まるで自分も参列したみたいによく分かったわ。
写真もビデオも撮ってきてくれたしね」
きぬ子は紗耶が撮った写真を手にしながら、嬉しげに頷いた。
「…仏前式…て初めて出席したのですけれど、厳かでとても良かったです」
紗耶は昨日の二人の結婚式を思い浮かべた。
…青森の緑深い山奥に、アネゴの実家の寺はあった。
まさに絵に描いたような山寺であった。
アネゴはこの寺の跡継ぎということで、結婚式も生家で挙げることになったのだ。
博多の隼人の両親は快く了承してくれたと、アネゴは嬉しそうに打ち明けてくれた。
『お袋と梢はすっかり意気投合しちゃってさ。
なんか似てるんだよなあ。男勝りなとことかザックリしすぎてるとことか大酒飲みなとことかさ』
…紋付袴姿の隼人はアネゴの白無垢姿を眩しげに見て、照れたように
『…馬子にも衣装だな…』
と、呟いたのだ。
…隼人先輩、アネゴ先輩を本当に大好きなんだわ…。
その温かな空気感で伝わってくる二人の愛情を、紗耶は微笑ましく…ちょっぴり羨ましく思った。
梢ちゃんの花嫁姿、そんなに綺麗だったのね」
隣家の大家…アネゴの遠縁の老婆、岡嶋きぬ子は紗耶の報告に嬉しそうに眼を細めた。
大家のきぬ子の自宅居間は、和洋折衷の趣きのある造りだ。
家具も受け継がれた飴色のアンティークものが大切に使われている。
どこか懐かしい…温かみのある古い家…。
だからとても居心地が良く、紗耶は大好きだった。
きぬ子は八十になる品のある老婆で、アネゴと親戚というだけあって、朗らかな性格をしている。
そのため、紗耶はすぐに自分の祖母のように懐いたのだ。
「はい。
白無垢が本当にお似合いで…。眩しいくらいお綺麗でした。
きぬ子さんにも見て欲しかった…て、アネゴ…梢さん、仰っていました」
引き出物のバームクーヘンを切り分けながら、紗耶はきぬ子に笑いかけた。
「私はもうあんな山寺には行けませんよ。
周りに迷惑かけちゃうからね。
でも、こうして紗耶ちゃんが詳しく話してくれたから、まるで自分も参列したみたいによく分かったわ。
写真もビデオも撮ってきてくれたしね」
きぬ子は紗耶が撮った写真を手にしながら、嬉しげに頷いた。
「…仏前式…て初めて出席したのですけれど、厳かでとても良かったです」
紗耶は昨日の二人の結婚式を思い浮かべた。
…青森の緑深い山奥に、アネゴの実家の寺はあった。
まさに絵に描いたような山寺であった。
アネゴはこの寺の跡継ぎということで、結婚式も生家で挙げることになったのだ。
博多の隼人の両親は快く了承してくれたと、アネゴは嬉しそうに打ち明けてくれた。
『お袋と梢はすっかり意気投合しちゃってさ。
なんか似てるんだよなあ。男勝りなとことかザックリしすぎてるとことか大酒飲みなとことかさ』
…紋付袴姿の隼人はアネゴの白無垢姿を眩しげに見て、照れたように
『…馬子にも衣装だな…』
と、呟いたのだ。
…隼人先輩、アネゴ先輩を本当に大好きなんだわ…。
その温かな空気感で伝わってくる二人の愛情を、紗耶は微笑ましく…ちょっぴり羨ましく思った。