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異邦人の庭 〜secret garden〜
第16章 異邦人の庭 〜secret rose garden〜
政彦が唖然とする。
「千晴⁈」
テーブルの上に飾られたコーネリアの花びらにそっと触れながら、千晴は涼しげな貌で答える。
「…紗耶ちゃんは今、禁断の恋の熱に浮かされている状態です。
周りがあれこれ言えば言うほど頑なになるはずです。
…フランスに行き、彼に会い、一緒に暮らせば少しずつ現実が見えてくるはずです。
歳の差、価値観の違い…。
その上、外国暮らしです。
きっと諍いも起こるでしょう。
いつか彼と別れて日本に帰ってくる可能性もゼロではありません」
呆れたように政彦が眼鏡を上げる。
「…気長にもほどがある。
その頃、お前はいくつだと思っているんだ」
「紗耶ちゃんを待つために僕の人生があると言うのは実にロマンチックな話ではありませんか?政彦兄さん」
にっこり笑う千晴に、政彦が苦々しいため息を吐く。
「何を夢のようなことを…!
高遠本家の後継者問題はどうする?
何百年も続く歴史ある家をお前で絶やすわけにはいかないだろう?」
かつて千晴の家庭教師をしていた政彦の細かなお説教を涼やかな流し目で受け流し、中庭の池から駆けて戻ってくる理人に優しく手を振る。
「理人…!転ばないようにね」
…そうして、まるで週末の楽しいプランを話すかのように告げた。
「高遠本家の跡を継ぐ者は、別に僕の子どもでなくても良いではありませんか。
…例えば…そう…。
理人を僕の養子に迎えれば、なんの問題もない」
「千晴⁈」
テーブルの上に飾られたコーネリアの花びらにそっと触れながら、千晴は涼しげな貌で答える。
「…紗耶ちゃんは今、禁断の恋の熱に浮かされている状態です。
周りがあれこれ言えば言うほど頑なになるはずです。
…フランスに行き、彼に会い、一緒に暮らせば少しずつ現実が見えてくるはずです。
歳の差、価値観の違い…。
その上、外国暮らしです。
きっと諍いも起こるでしょう。
いつか彼と別れて日本に帰ってくる可能性もゼロではありません」
呆れたように政彦が眼鏡を上げる。
「…気長にもほどがある。
その頃、お前はいくつだと思っているんだ」
「紗耶ちゃんを待つために僕の人生があると言うのは実にロマンチックな話ではありませんか?政彦兄さん」
にっこり笑う千晴に、政彦が苦々しいため息を吐く。
「何を夢のようなことを…!
高遠本家の後継者問題はどうする?
何百年も続く歴史ある家をお前で絶やすわけにはいかないだろう?」
かつて千晴の家庭教師をしていた政彦の細かなお説教を涼やかな流し目で受け流し、中庭の池から駆けて戻ってくる理人に優しく手を振る。
「理人…!転ばないようにね」
…そうして、まるで週末の楽しいプランを話すかのように告げた。
「高遠本家の跡を継ぐ者は、別に僕の子どもでなくても良いではありませんか。
…例えば…そう…。
理人を僕の養子に迎えれば、なんの問題もない」