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異邦人の庭 〜secret garden〜
第17章 secret garden 〜永遠の庭〜
「…手紙には美しい達筆なフランス語の文字でこう書かれていた。
『親愛なるミシェル。
まだ若い君にすべての後のことを託してしまうことを許して欲しい。
この家と店の権利、そしていくばくかの財産はすべて君に譲る。
君の良いようにしてくれ。
ミシェル。
私はもう、暁様がいないこの世界に一分一秒も存在していたくはないのだ。
ミシェル。
どうか哀しまないでほしい。
私は今とても幸せなのだから。
…これで暁様は永遠に私と一緒だ。
永遠に、私だけのものだ。
暁様と二人きり、永遠に醒めない夢の世界に入ってゆけるのだ。
そのことに、私はこの上ない喜びを感じている。

葬儀はいらない。
ひとつだけ。
私の亡骸は、暁様とともに同じ墓に埋葬してくれ。
私の願いはただそれだけだ。

親愛なるミシェル。
…君と出会えて本当に良かった。
心からの感謝と友愛と敬愛を込めて…。

月城 森』」

「…実に…実に見事な遺言だった。
まさにサムライの散り際だった。
…いや、美しい唯一無二の愛の昇華だった」

ミシェルの優しい紺碧の瞳からは、止めどなく涙が溢れていた。
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