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異邦人の庭 〜secret garden〜
第17章 secret garden 〜永遠の庭〜
ミシェルはきちんとプレスされた白いハンカチで涙を拭い、静かに口を開いた。
「…プロフェッサー。
イモーテルの花言葉を知っているかね?」
ミシェルの手にした花束に眼を移す。
…二人の寝台に撒かれていた花か…。
だからミシェルは、命日にこの花を二人の墓に捧げるのだろうか。
イモーテルはその花の保ちが良く、変わらぬ可憐な姿や鮮やかな色を留めることから、ブリザーブドフラワーやハーバリウムに使われる太陽色の愛らしい花だ。
甘い薫りを放つので、香料にも使われる。
けれど、花言葉までは藤木は知らない。
「…いいえ…」
素直に首を振る。
ミシェルはイモーテルの花束を雲ひとつなく晴れ渡る青天に翳し、微笑んだ。
碧い空の上にいる彼らに優しく手向けるように。
「…イモーテルの花言葉は、『不滅の愛』だよ。
最期までキザな男さ。
臆面もなく…まったく。
ツキシロは最期までアキラだけを愛して、執着して、愛おしいアキラに他の者を寄せ付けようとしなかった。
あんなにも美しく艶めいたひとを…。
ツキシロだけが身も心も独占し続けた。
まったく…なんて頑固で独裁的でケチな男だ」
ミシェルは泣き笑いの表情を浮かべた。
言葉とは裏腹の、月城への限りない賞賛と情愛が、透けて見えた。
「…素晴らしいひとですね。
その月城さんも。
月城さんに愛された暁さんも…」
…そんなにも至高の愛があるのだと、藤木は静謐な情動に襲われていた。
そして、打ち寄せる、ある想いに…。
…紗耶…!
「…ああ、素晴らしい、美しい、二人だった。
比類なき愛に満ち溢れ、互いへの愛だけに生きた二人だった。
…私はそんな彼らに出会え、彼らの人生に関われて、実に幸せだった」
ミシェルはそう言って、彼らの愛の終の住処をゆっくりと振り仰いだ。
「…プロフェッサー。
イモーテルの花言葉を知っているかね?」
ミシェルの手にした花束に眼を移す。
…二人の寝台に撒かれていた花か…。
だからミシェルは、命日にこの花を二人の墓に捧げるのだろうか。
イモーテルはその花の保ちが良く、変わらぬ可憐な姿や鮮やかな色を留めることから、ブリザーブドフラワーやハーバリウムに使われる太陽色の愛らしい花だ。
甘い薫りを放つので、香料にも使われる。
けれど、花言葉までは藤木は知らない。
「…いいえ…」
素直に首を振る。
ミシェルはイモーテルの花束を雲ひとつなく晴れ渡る青天に翳し、微笑んだ。
碧い空の上にいる彼らに優しく手向けるように。
「…イモーテルの花言葉は、『不滅の愛』だよ。
最期までキザな男さ。
臆面もなく…まったく。
ツキシロは最期までアキラだけを愛して、執着して、愛おしいアキラに他の者を寄せ付けようとしなかった。
あんなにも美しく艶めいたひとを…。
ツキシロだけが身も心も独占し続けた。
まったく…なんて頑固で独裁的でケチな男だ」
ミシェルは泣き笑いの表情を浮かべた。
言葉とは裏腹の、月城への限りない賞賛と情愛が、透けて見えた。
「…素晴らしいひとですね。
その月城さんも。
月城さんに愛された暁さんも…」
…そんなにも至高の愛があるのだと、藤木は静謐な情動に襲われていた。
そして、打ち寄せる、ある想いに…。
…紗耶…!
「…ああ、素晴らしい、美しい、二人だった。
比類なき愛に満ち溢れ、互いへの愛だけに生きた二人だった。
…私はそんな彼らに出会え、彼らの人生に関われて、実に幸せだった」
ミシェルはそう言って、彼らの愛の終の住処をゆっくりと振り仰いだ。