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異邦人の庭 〜secret garden〜
第17章 secret garden 〜永遠の庭〜
「ミシェルは真面目な学生です。
…それは…ソルボンヌやケンブリッジのような名門大学には通っていませんが、一流のフラワーアーティストを目指してパリのエコール・ド・フローリストで学んでいます。
忙しい勉強の合間に家業のペンションと花屋をよく手伝い、ニースの花祭りの青年部の責任者にも推薦されて…それくらい人望もあり勤勉な人柄の良い青年なんですよ」
暁はミシェル・エルメがいかによい青年かを熱心に訴えてくる。
「もちろん私生活もきちんとしています。
忍さんもご存じかと思いますが、とてもハンサムな青年です。
女性に人気もあります。
けれど決して浮ついたところはなくて、瑠璃子ちゃん一筋に純愛を捧げています。
僕はミシェルがほんの子どもの頃からよく知っています。
だから彼の人柄や賢さはもちろん、彼の両親の素晴らしさも保証できます。
ミシェルのどこが駄目なのか…僕にはいくら考えても分かりません」
…そんなことは風間とてよく分かっている。
昔は暁のところで、ミシェルとはよく接してきた。
引っ込み思案な瑠璃子が、ミシェルとだけは屈託なく楽しげに馴染んだからだ。
まだ二人が子どもだった時は、ミシェルをパリの自宅に招いたこともある。
ミシェルはややはにかみ屋なところはあるが、爽やかな好青年で優しく、賢そうでもある。
いわゆる庶民の出だが、礼儀正しく、躾もきちんと行き届いている。
小さな頃から瑠璃子を一途に思っているということも。
…そして…瑠璃子がミシェルを愛していることも…。
…けれど…。
「いくらミシェルが良い青年でも、瑠璃子と結婚させるわけにはいかない」
はっきりと言い切り、暁に背を向け、キャビネットに向かった。
極上のコニャックとグラスを取り出しながら、敢えて感情を込めずに淡々と口を開いた。
「瑠璃子はアメリカのとあるホテル王の息子と結婚させる。
瑠璃子がソルボンヌを卒業したら、正式に婚約式を執り行う予定だ」
背後で暁の息を飲む気配が伝わった。
…それは…ソルボンヌやケンブリッジのような名門大学には通っていませんが、一流のフラワーアーティストを目指してパリのエコール・ド・フローリストで学んでいます。
忙しい勉強の合間に家業のペンションと花屋をよく手伝い、ニースの花祭りの青年部の責任者にも推薦されて…それくらい人望もあり勤勉な人柄の良い青年なんですよ」
暁はミシェル・エルメがいかによい青年かを熱心に訴えてくる。
「もちろん私生活もきちんとしています。
忍さんもご存じかと思いますが、とてもハンサムな青年です。
女性に人気もあります。
けれど決して浮ついたところはなくて、瑠璃子ちゃん一筋に純愛を捧げています。
僕はミシェルがほんの子どもの頃からよく知っています。
だから彼の人柄や賢さはもちろん、彼の両親の素晴らしさも保証できます。
ミシェルのどこが駄目なのか…僕にはいくら考えても分かりません」
…そんなことは風間とてよく分かっている。
昔は暁のところで、ミシェルとはよく接してきた。
引っ込み思案な瑠璃子が、ミシェルとだけは屈託なく楽しげに馴染んだからだ。
まだ二人が子どもだった時は、ミシェルをパリの自宅に招いたこともある。
ミシェルはややはにかみ屋なところはあるが、爽やかな好青年で優しく、賢そうでもある。
いわゆる庶民の出だが、礼儀正しく、躾もきちんと行き届いている。
小さな頃から瑠璃子を一途に思っているということも。
…そして…瑠璃子がミシェルを愛していることも…。
…けれど…。
「いくらミシェルが良い青年でも、瑠璃子と結婚させるわけにはいかない」
はっきりと言い切り、暁に背を向け、キャビネットに向かった。
極上のコニャックとグラスを取り出しながら、敢えて感情を込めずに淡々と口を開いた。
「瑠璃子はアメリカのとあるホテル王の息子と結婚させる。
瑠璃子がソルボンヌを卒業したら、正式に婚約式を執り行う予定だ」
背後で暁の息を飲む気配が伝わった。