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異邦人の庭 〜secret garden〜
第17章 secret garden 〜永遠の庭〜
「忍さん!
ちょっと待ってください。
そんな…あまりに横暴すぎます」
風間に詰め寄る暁を、じっと見下ろした。
…相変わらず、夜に咲く白い蓮の花のようにしっとりとした情緒を湛えた美貌だと、こんな時なのに風間は感動すら覚えた。
…けれど、風間は硬い表情のまま続ける。
「横暴?どこがだ?
俺は彼が瑠璃子に相応しい素晴らしい男だから結婚させたいと思ったのだ。
瑠璃子のためを思っての選択だよ。
…ホテル王の息子、ジェフリー・シンプソンはイェール大学出のインテリだ。
趣味は乗馬にポロ、スキー、テニス。チェロも嗜む。
若いのになかなかの趣味人だ。
リセ卒業までパリにいたから、フランス語も堪能。
瑠璃子とは社交界で面識はあった。
ワルツを何度も踊ったし、家族ぐるみで食事やオペラ座で椿姫を観劇をしたこともある。
いきなりの結婚話じゃない。
彼はインテリだが偉ぶらない。
ガサツなアメリカ人ではなく、ユーモアのセンスもある洗練された紳士のアメリカ人…貴重だ。
男振りも良い。
もちろん瑠璃子を真剣に愛している。
彼の方からプロポーズしてきたのだ。
…マドモアゼル・ルリコに求婚したいと…。
もし、結婚を許してもらえたら、風間家に婿養子に入っても構わないと。
ジェフリーは次男坊だからね。あちらの家にいる必要はないのだと。
今はニューヨークのモルガン銀行に勤務しているが、もし結婚したらオテル・ド・カザマの繁栄に全力を尽くすと約束してくれたのだ。
…司は月城くんの弟と日本の俺の実家のホテルを受け継いだ。
司はもう日本に骨を埋める気だろう。
だからオテル・ド・カザマを継ぐのは瑠璃子だ。
ジェフリーが瑠璃子の夫になってくれたら、こんなに心強いことはない」
…つい本音を漏らした風間に、暁は寂しげな表情を浮かべた。
そうして、落胆した声色で呟いた。
「…忍さんはすっかり変わってしまわれましたね。
貴方のなさっていることはかつて、百合子さんを無理矢理他家に嫁がせようとしたあの非情な継母と大差ないのですよ」
ちょっと待ってください。
そんな…あまりに横暴すぎます」
風間に詰め寄る暁を、じっと見下ろした。
…相変わらず、夜に咲く白い蓮の花のようにしっとりとした情緒を湛えた美貌だと、こんな時なのに風間は感動すら覚えた。
…けれど、風間は硬い表情のまま続ける。
「横暴?どこがだ?
俺は彼が瑠璃子に相応しい素晴らしい男だから結婚させたいと思ったのだ。
瑠璃子のためを思っての選択だよ。
…ホテル王の息子、ジェフリー・シンプソンはイェール大学出のインテリだ。
趣味は乗馬にポロ、スキー、テニス。チェロも嗜む。
若いのになかなかの趣味人だ。
リセ卒業までパリにいたから、フランス語も堪能。
瑠璃子とは社交界で面識はあった。
ワルツを何度も踊ったし、家族ぐるみで食事やオペラ座で椿姫を観劇をしたこともある。
いきなりの結婚話じゃない。
彼はインテリだが偉ぶらない。
ガサツなアメリカ人ではなく、ユーモアのセンスもある洗練された紳士のアメリカ人…貴重だ。
男振りも良い。
もちろん瑠璃子を真剣に愛している。
彼の方からプロポーズしてきたのだ。
…マドモアゼル・ルリコに求婚したいと…。
もし、結婚を許してもらえたら、風間家に婿養子に入っても構わないと。
ジェフリーは次男坊だからね。あちらの家にいる必要はないのだと。
今はニューヨークのモルガン銀行に勤務しているが、もし結婚したらオテル・ド・カザマの繁栄に全力を尽くすと約束してくれたのだ。
…司は月城くんの弟と日本の俺の実家のホテルを受け継いだ。
司はもう日本に骨を埋める気だろう。
だからオテル・ド・カザマを継ぐのは瑠璃子だ。
ジェフリーが瑠璃子の夫になってくれたら、こんなに心強いことはない」
…つい本音を漏らした風間に、暁は寂しげな表情を浮かべた。
そうして、落胆した声色で呟いた。
「…忍さんはすっかり変わってしまわれましたね。
貴方のなさっていることはかつて、百合子さんを無理矢理他家に嫁がせようとしたあの非情な継母と大差ないのですよ」