この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
異邦人の庭 〜secret garden〜
第17章 secret garden 〜永遠の庭〜
風間はぴくりと眉を跳ね上げた。

「俺があの鬼のような継母と同じ?
馬鹿なことを言うな」
強い口調だった。
いつも暁には優しい物言いしかしない風間が…。

風間とは学生時代からの仲だ。
…一時期は恋人同志のような艶めいた関係でもあった。
その後はお互いの窮地を助け合い、唯一無二の親友以上の関係だ。
だから暁は決してひるまなかった。
「だってそうでしょう?
貴方は、瑠璃子ちゃんのためと言いながら、ホテル経営のことを考えている。
ご自身の利益のことを優先されている。
瑠璃子ちゃんの意思などお構いなしに…!」

「暁!
俺はちゃんと考えているさ。
瑠璃子の幸せを」

暁は首を振り、ひたりと風間を見上げる。
「貴方が考える瑠璃子ちゃんの幸せとは何ですか?
名門大学出の富裕な御曹司と結婚して安泰に暮らすことですか?
周りから称賛され、家業を繁栄させる結婚をすることですか?
瑠璃子ちゃんには他に好きなひとがいるのに?
ミシェルと瑠璃子ちゃんは好き合っているのに…!
瑠璃子ちゃんの初恋を、父親の貴方が無下に踏み躙るのですか?
貴方はいつからそんな冷たい方になられたのですか?」

優美な美貌に静かな怒りを滲ませる暁に、風間はさすがに困り果てたようにため息をついた。
そうして、やや気弱な声で語り始めた。
…それは、いつもの強い自信に満ち溢れ、華やかな…誰をも惹きつける男丈夫な姿とは凡そかけ離れた、初めて見る風間の姿であった。

「…暁。
君は分かっていないんだ。
日本人の俺がヨーロッパで今の地位を築くのにどれだけ世間の偏見や侮蔑や嫉みと闘ってきたかを。
日本人が白人至上主義…もっと言えばフランス人至上主義のここフランスで彼らと肩を並べ、追い越してゆくことにどれだけ足を引っ張られ、辛酸を舐めさせられたかを」

…風間の端正な、成熟した横貌が疲れたように翳りを帯びた。

/789ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ