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異邦人の庭 〜secret garden〜
第4章 ミス・アリスと午後のお茶を…
紗耶は慌てて首を振る。
「大丈夫よ。京王線は乗ったことあるし、駅からすぐだし。
千晴お兄ちゃまは気になさらないで」
「…でも、電車で痴漢にでもあったら…」
端正な眉を顰められ、紗耶は思わず苦笑いする。
「千晴お兄ちゃま…。
私、中学も高校も電車通学だったのよ。
いくら私が世間知らずでも、それくらいの対処はできるわ」
「…じゃあ、防犯ベルを持って行きなさい。
いざという時のために買っておいたんだ」
紗耶は思わず眼を見張る。
…お父様も心配性だったけれど、ここまでではなかったわ…。
自分のことを心配してくれるのは嬉しいが、それは紫織の娘だからなのだと思うと、心は切なくなる。
…けれど、それでもいいと割り切って紗耶はこの家に来たのだ。
身代わりでも何でもいいから、千晴の側で暮らしてみたかったのだ。
…お母様の代わりでもいい…。
千晴お兄ちゃまが、紗耶を望んでくださったのなら…紗耶のことを少しは気に入ってくださっているんだもの…。
それで…充分だ…。
そう自分に言い聞かせると、驚くほどに気持ちは楽になった。
「…わかったわ。持っていきます」
素直に頷くと、漸く千晴は笑顔になった。
「良かった。
あまり遅くならないようにね。
帰る時は必ずメールして。
ディナーは何がいいかな?
紗耶ちゃんの好きなものを言ってくれ。
…その前に…やっぱり今日だけは大学の駅までは送らせてくれ。
心配で仕事が手につかないから」
「…あ…」
紗耶は困ったように笑った。
…千晴お兄ちゃまは本当に心配性だ…。
「大丈夫よ。京王線は乗ったことあるし、駅からすぐだし。
千晴お兄ちゃまは気になさらないで」
「…でも、電車で痴漢にでもあったら…」
端正な眉を顰められ、紗耶は思わず苦笑いする。
「千晴お兄ちゃま…。
私、中学も高校も電車通学だったのよ。
いくら私が世間知らずでも、それくらいの対処はできるわ」
「…じゃあ、防犯ベルを持って行きなさい。
いざという時のために買っておいたんだ」
紗耶は思わず眼を見張る。
…お父様も心配性だったけれど、ここまでではなかったわ…。
自分のことを心配してくれるのは嬉しいが、それは紫織の娘だからなのだと思うと、心は切なくなる。
…けれど、それでもいいと割り切って紗耶はこの家に来たのだ。
身代わりでも何でもいいから、千晴の側で暮らしてみたかったのだ。
…お母様の代わりでもいい…。
千晴お兄ちゃまが、紗耶を望んでくださったのなら…紗耶のことを少しは気に入ってくださっているんだもの…。
それで…充分だ…。
そう自分に言い聞かせると、驚くほどに気持ちは楽になった。
「…わかったわ。持っていきます」
素直に頷くと、漸く千晴は笑顔になった。
「良かった。
あまり遅くならないようにね。
帰る時は必ずメールして。
ディナーは何がいいかな?
紗耶ちゃんの好きなものを言ってくれ。
…その前に…やっぱり今日だけは大学の駅までは送らせてくれ。
心配で仕事が手につかないから」
「…あ…」
紗耶は困ったように笑った。
…千晴お兄ちゃまは本当に心配性だ…。