この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
異邦人の庭 〜secret garden〜
第4章 ミス・アリスと午後のお茶を…
学部ごとのオリエンテーションが済むと、校舎からは一斉に学生たちが溢れ出し、キャンパス内のあちらこちらに散らばり出した。
紗耶の傍らをがっちりした体型の運動部らしい男子たちが談笑しながら駆け抜けてゆく。
男子学生が多いのも、この大学の特徴だ。
…幼稚園から高校まで女子校で過ごした紗耶にとって同年代の男子と真近に接するのは初めての経験で、それだけでどきどきする。
紗耶はゆっくりと校舎から出ると、大きく深呼吸をした。
…目の前には、ビラを片手に新入生を勧誘しようとする二、三年生の学生たちでごった返している。
広い通路にはそれぞれのサークルが長机を出し、入会説明や受付をしている。
派手な旗や看板を掲げているサークルもあり、その風景はちょっとしたお祭りのようでもあった。
…頭の中で、星南学院の同級生・菜月がくれたアドバイスを思い返す。
『大学で友達を作るにはまずはサークルに入ること!
クラスでも出来るけどそれは授業が始まってからだから、それまではまずはサークル!
サークル選びも慎重にね。
飲みサーとか、間違って入っちゃダメだよ。
…二宮さん、大人しいからなあ〜、大丈夫かなあ〜』
先月、星南学院の駅前のスターバックスコーヒーで会った時に菜月は親身に心配してくれた。
…そして…
『…しかし、二宮さんがあの高遠先生と婚約とはねえ…。
羨ましいちゅ〜かなんちゅ〜か…。
はっきり言って今年一番のあたしらのビッグニュースはこれだからね!
…二宮さんてさあ、一見大人しくて物静かだけど、意外性のひとだよね。
内面は滾るような熱いハートの持ち主っつ〜か…。
…私、結構好きだったよ。二宮さんのこと』
悪戯っぽく笑いながらそう言って餞のような言葉をプレゼントしてくれた菜月は、四月からウィーンの音楽大学に留学した。
ずっと続けていたフルートを本格的に勉強したいから…と眼をキラキラさせていた菜月を、紗耶は素敵だな…と思った。
…私も…頑張らなきゃ…。
心の中でそう呟き、紗耶は両手を握りしめると、新入生勧誘の人波の中へと足を踏み入れた。
紗耶の傍らをがっちりした体型の運動部らしい男子たちが談笑しながら駆け抜けてゆく。
男子学生が多いのも、この大学の特徴だ。
…幼稚園から高校まで女子校で過ごした紗耶にとって同年代の男子と真近に接するのは初めての経験で、それだけでどきどきする。
紗耶はゆっくりと校舎から出ると、大きく深呼吸をした。
…目の前には、ビラを片手に新入生を勧誘しようとする二、三年生の学生たちでごった返している。
広い通路にはそれぞれのサークルが長机を出し、入会説明や受付をしている。
派手な旗や看板を掲げているサークルもあり、その風景はちょっとしたお祭りのようでもあった。
…頭の中で、星南学院の同級生・菜月がくれたアドバイスを思い返す。
『大学で友達を作るにはまずはサークルに入ること!
クラスでも出来るけどそれは授業が始まってからだから、それまではまずはサークル!
サークル選びも慎重にね。
飲みサーとか、間違って入っちゃダメだよ。
…二宮さん、大人しいからなあ〜、大丈夫かなあ〜』
先月、星南学院の駅前のスターバックスコーヒーで会った時に菜月は親身に心配してくれた。
…そして…
『…しかし、二宮さんがあの高遠先生と婚約とはねえ…。
羨ましいちゅ〜かなんちゅ〜か…。
はっきり言って今年一番のあたしらのビッグニュースはこれだからね!
…二宮さんてさあ、一見大人しくて物静かだけど、意外性のひとだよね。
内面は滾るような熱いハートの持ち主っつ〜か…。
…私、結構好きだったよ。二宮さんのこと』
悪戯っぽく笑いながらそう言って餞のような言葉をプレゼントしてくれた菜月は、四月からウィーンの音楽大学に留学した。
ずっと続けていたフルートを本格的に勉強したいから…と眼をキラキラさせていた菜月を、紗耶は素敵だな…と思った。
…私も…頑張らなきゃ…。
心の中でそう呟き、紗耶は両手を握りしめると、新入生勧誘の人波の中へと足を踏み入れた。