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異邦人の庭 〜secret garden〜
第17章 secret garden 〜永遠の庭〜
「…知らなかった…。
忍さんたちが、そんなに苦労していたなんて…」
ソファに並んで座り、呟く。
風間からコニャックのグラスを受け取る。
芳醇で濃厚な葡萄の馥郁たる薫りが心を落ち着かせる。
「…僕は…ここにきて、そんなに嫌な目に合ったことはなかったから…」
…ニースといっても暁が暮らす海辺は、のどかな漁港とペンション、昔ながらの古い別荘が立ち並ぶ町だ。
だから、排他的な雰囲気はさほど感じなかったのだ。
…それは…
と、風間が柔らかな微笑みを浮かべ、口を開いた。
「きっと月城さんが暁を守っていたからだろうな。
…分からないように密かに、しっかりと…」
「月城が?」
長く濃い睫毛を瞬かせ、風間を見上げる。
「そうさ。
あの有能な元執事が、お前を全方位から守っていたからさ。
…俺には分かるよ…」
…俺も…かつてはそうだった。
暁を苦しめるものすべてから、守ってやりたかったからな…。
独り言のように呟くと、
「…まあ結局、俺では役不足だったけれどな」
と、自嘲気味に笑いながらグラスを煽った。
「…忍さん…」
暁は仄かに胸がときめくのを感じ…けれど、それには気づかない振りをした。
…これからも続くであろう、二人の友情のために…。
そうして傍らの風間に改めて向き直った。
「…ねえ、忍さん。
僕がどうして今幸せか、分かりますか?」
忍さんたちが、そんなに苦労していたなんて…」
ソファに並んで座り、呟く。
風間からコニャックのグラスを受け取る。
芳醇で濃厚な葡萄の馥郁たる薫りが心を落ち着かせる。
「…僕は…ここにきて、そんなに嫌な目に合ったことはなかったから…」
…ニースといっても暁が暮らす海辺は、のどかな漁港とペンション、昔ながらの古い別荘が立ち並ぶ町だ。
だから、排他的な雰囲気はさほど感じなかったのだ。
…それは…
と、風間が柔らかな微笑みを浮かべ、口を開いた。
「きっと月城さんが暁を守っていたからだろうな。
…分からないように密かに、しっかりと…」
「月城が?」
長く濃い睫毛を瞬かせ、風間を見上げる。
「そうさ。
あの有能な元執事が、お前を全方位から守っていたからさ。
…俺には分かるよ…」
…俺も…かつてはそうだった。
暁を苦しめるものすべてから、守ってやりたかったからな…。
独り言のように呟くと、
「…まあ結局、俺では役不足だったけれどな」
と、自嘲気味に笑いながらグラスを煽った。
「…忍さん…」
暁は仄かに胸がときめくのを感じ…けれど、それには気づかない振りをした。
…これからも続くであろう、二人の友情のために…。
そうして傍らの風間に改めて向き直った。
「…ねえ、忍さん。
僕がどうして今幸せか、分かりますか?」