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異邦人の庭 〜secret garden〜
第17章 secret garden 〜永遠の庭〜
「俺が…?」
「…忍さんはあの日、百合子さんを連れてフランスに渡りました。
亡くなったお兄様の奥様と連れ子の司くんを連れての逃避行です。
普通に考えたら、許されることではないでしょう。
百合子さんだって、日本で何と言われるか…」

…風間の亡くなった兄の妻、百合子は風間家で持て余されていた。
風間の両親は孫の司だけを溺愛し、引き取りたかったのだ。
そこにつけこんだ百合子の継母は、強制的に百合子を四国の海運王の後添えにやろうと画策したのだ。

少年時代から密かに兄嫁の百合子を愛していた風間と、やはり彼を慕っていた百合子は想いを確認し合った。
そうして暁らの協力の元、風間は百合子と司を連れ、日本を離れフランスに渡ったのだ。

…けれど、今思うとあと先考えなしに起こしたかなり向こう見ずな行動だった。
風間も暁も、若かったのだ。
…ただ、愛の原動力だけで、風間と百合子は結ばれたのだ。

「そんなことどうでも良かった!
俺はただ、百合子を愛していたから…!」
自分の言葉に、風間ははっと眼を見開いた。

握りしめていた手に、暁は力を入れる。
「そうでしょう。
お互いに愛しあっていたからこそ、お二人は異国の地でどんな困難も乗り越えてこられたのではないですか?
ただ、お二人の愛の力で」
「…暁…」
風間の薄茶色の瞳が、微かに潤んでいた。

暁はふわりと微笑った。
「瑠璃子ちゃんもそうですよ。
瑠璃子ちゃんにはミシェルが居れば、きっとどんなことがあっても乗り越えられます。
愛のない結婚は不幸です。
もし、このまま忍さんがこの縁談を推し進めたら、瑠璃子ちゃんだけではなく、お相手の方まで不幸にしてしまいます。
妻から愛されない夫なんて、こんなに気の毒なことはありません。
…そんなこと、忍さんのご本意ではありませんよね?」

二人の眼差しが静かに交錯し、やがて風間は暁の手を強く握り返した。

 深いため息を、彼は漏らした。

「…暁には敵わないな…」
苦笑混じりだが、温かな声だった。
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