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異邦人の庭 〜secret garden〜
第17章 secret garden 〜永遠の庭〜
…なぜ、こんなにもこのひとに惹きつけられるのだろう…。
風間は飽きることなく、暁の貌を見つめ続けた。
彼の貌を見つめている時、風間は魔法にかけられたかのように若き日に戻るのだ。

…暁の真珠のような照りを帯びた白く美しい肌は、いささかのくすみもなくしっとりと輝いている。
弓形の優しい眉、長く濃い睫毛はその美しい瞳を夢のように縁取る…。
射干玉の色の瞳は、夜の湖のように水を湛え、煌めいていた。
すんなりと形の良い鼻筋、そして、懐かしい祖国の桜の花の色を映した口唇…。

「…俺は百合子を愛しているし、一緒になったことを少しも後悔してはいない」
…独り言のような呟きが漏れた。

「…当然ですよ」
暁が幼な子を宥めるように微笑む。

「…けれど、時々考えることがあるよ…。
特にこうして君を見ると…」
…艶やかな黒い絹糸のような髪を梳き上げる。
仄かな薫りは、伽羅めいた神秘的な…そして妖艶な薫りだ…。

「…忍さん…」

「…百合子と出会わなかったら…俺はきっと、月城さんと争ってでも暁を手に入れた」
暁はふっと吐息のような笑みを漏らす。

「…貴方は相変わらず酔狂な方だ…」

「…君と愛し合った日々は、俺の最も美しい青春の日々だった…」
…この透き通るような白く馨しい肌を、折れそうに華奢な…けれど夜の褥では妖しく淫らに乱れてみせた美しい身体を…風間は未だに生々しく思い起こすことができるのだ。

…それが時として、甘狂おしく風間の胸を掻き乱す。

暁は黒眼勝ちな瞳を見張ると、艶やかに微笑った。
そうして、まるで口づけを与えるような距離まで自ら近づいた。
…甘やかな吐息が絡みつく。
魅入られたかのように風間が暁を引き寄せようとした刹那、暁は朗らかに笑い、風間の引き締まった頬を抓った。

「…戻らないからこそ、青春は美しいのですよ。
風間先輩…」

「…俺は…」

その白く華奢な腕を掴みかけた時、バルコニーの奥、ライラックの垣根から長身の男がしなやかに姿を現した。

「…失礼いたします。風間様。暁様。
フィッシュパイをお届けに上がりました。
…百合子様からお二人はこちらとご案内をいただきまして」

暁の瞳が一瞬にして、きらきらと輝いた。

「月城…!」

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