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異邦人の庭 〜secret garden〜
第4章 ミス・アリスと午後のお茶を…
その喧騒に足を踏み入れた途端、紗耶は両サイドから若い男子学生たちに囲まれた。
「あ、一年生?ねえ、君、可愛いね。
サークル決めた?まだ?テニスサークルなんだけど、話だけでも聞いていってよ」
「…あ、あの…。わ、私、テニスは…したことがなくて…」
「大丈夫!初心者歓迎だからさ。
ね、LINEのIDだけでも教えてよ」
馴れ馴れしさと強引に恐れをなし、紗耶は頭を下げて逃げ出した。
…けれど次から次へと同じような男子学生の執拗な勧誘に捕まってしまう。

…テニスサークルにスキーサークル、ゴルフ部、ラクロス部、自動車部…。
どれも紗耶には無理そうなサークルな上に、勧誘がしつこく無遠慮で…紗耶はすっかり恐れをなしてしまった。

這々の体で逃げ出し、やや人気の少ない広場で一息吐く。
…そこは傍らに大きな欅の木が植えられ、程よい木陰になっていた。

…やっぱり私には、サークル活動とか無理なのかしら…。
初めの一歩で自信喪失してしまった紗耶はため息を吐く。

…今日はもう帰ろうかな…。
千晴お兄ちゃまも、早く帰ってきなさいって仰っていたし…。

…と、ぼんやり視線を上げた先に、ド派手な看板を立てた長机が見えた。

看板には「penny lane」と書かれていた。
紗耶は眼を見張った。

…ペニー・レーン?
蔓薔薇の名前だわ…。
確か英国で蔓薔薇で初めてローズ・オブ・ザ・イヤーを受賞した…。

…もしかして…薔薇作りのサークルなんじゃないかしら?

どきどきと期待に逸る胸を押さえつつ、紗耶はその机に近づいた。

…机の内側には、黒いキャップを被った一人の男子学生がワイヤレスイヤフォンで何かを聴きながら、退屈そうに雑誌を捲っていた。

「…あの…。すみません…」
勇気を振り絞り、声を掛ける。

…気配に気づいた男子学生は貌を上げながらイヤフォンを外した。
そうして、紗耶を見ると驚いたように息を呑んだ。

きりりと整った若侍のような貌立ちの青年だった。
…一見怖そうだが、清潔感のある雰囲気に助けられ、紗耶はもう一度声を掛けた。

「…あの…こちらのサークルは、薔薇作りのサークルですか?」

青年は鳩が豆鉄砲を食ったような表情をした。
「へ?薔薇作り⁈」
「…は、はい。penny Ianeて薔薇の名前が…」

…青年はポップコーンが弾けるような陽気な声を立てて笑い出した。

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