この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
異邦人の庭 〜secret garden〜
第17章 secret garden 〜永遠の庭〜
「…風間様…?」
「暁はね、月城さん以外のことはどうでもいいんだ。
だから、気安くわざと俺の揶揄いに乗ってみたりするのさ」
ふんと敢えて意地悪く笑い、キューバ産の葉巻に火を点ける。
「暁にとって、貴方以外はただの他人。
本当のところ関心も希薄なんだ。
暁は優しいけれど、それは単に慈愛の精神さ。
…暁の愛は全部余すところなく貴方に向かっているよ。
自信がないなんて…不遜以外何ものでもないな。
…大体あんた、そんなぞっとするほどの美形なのに。
贅沢すぎるさ。
六十のジジイには到底見えないしな。
海の魔王か何かに魔法でもかけられたのか?
何なんだよ、本当に。
トンチキな夫婦だな。全くさ」
久々に乱暴な言葉を使ってしまった。
…なんだか、自棄に底意地悪く当たってしまうのは…
明らかに嫉妬だ。
「…風間様…」
月城の困ったような貌は、珍しい。
風間は表情を改めて、柔らかく月城に微笑んだ。
「俺は貴方が羨ましいよ。
あんなに盲目的にまっしぐらにぶつかって愛してくれるひとなんて、滅多にいるものじゃない。
だから、貴方はただ暁をどっしり受け止めてやればいいのさ」
…全部本音だ。
「…互いの愛を信じ切れるなんて…滅多にあることじゃあない。
奇跡だよ…」
ぽつりと呟く。
月城が、穏やかに確信に満ちた口調で応えた。
「…風間様もそうではありませんか。
風間様と百合子様は、理想のご夫婦です」
風間は、ふっと仄かに寂しく微笑った。
「…理想の夫婦ね…」
…どうかな…。
風間の声が、葉巻の紫煙と共に、心許なく空気に溶け込んだ。
「暁はね、月城さん以外のことはどうでもいいんだ。
だから、気安くわざと俺の揶揄いに乗ってみたりするのさ」
ふんと敢えて意地悪く笑い、キューバ産の葉巻に火を点ける。
「暁にとって、貴方以外はただの他人。
本当のところ関心も希薄なんだ。
暁は優しいけれど、それは単に慈愛の精神さ。
…暁の愛は全部余すところなく貴方に向かっているよ。
自信がないなんて…不遜以外何ものでもないな。
…大体あんた、そんなぞっとするほどの美形なのに。
贅沢すぎるさ。
六十のジジイには到底見えないしな。
海の魔王か何かに魔法でもかけられたのか?
何なんだよ、本当に。
トンチキな夫婦だな。全くさ」
久々に乱暴な言葉を使ってしまった。
…なんだか、自棄に底意地悪く当たってしまうのは…
明らかに嫉妬だ。
「…風間様…」
月城の困ったような貌は、珍しい。
風間は表情を改めて、柔らかく月城に微笑んだ。
「俺は貴方が羨ましいよ。
あんなに盲目的にまっしぐらにぶつかって愛してくれるひとなんて、滅多にいるものじゃない。
だから、貴方はただ暁をどっしり受け止めてやればいいのさ」
…全部本音だ。
「…互いの愛を信じ切れるなんて…滅多にあることじゃあない。
奇跡だよ…」
ぽつりと呟く。
月城が、穏やかに確信に満ちた口調で応えた。
「…風間様もそうではありませんか。
風間様と百合子様は、理想のご夫婦です」
風間は、ふっと仄かに寂しく微笑った。
「…理想の夫婦ね…」
…どうかな…。
風間の声が、葉巻の紫煙と共に、心許なく空気に溶け込んだ。