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異邦人の庭 〜secret garden〜
第17章 secret garden 〜永遠の庭〜
月城は面食らった。
「…セックス…ですか…」
「うん。セックス」
月城は、苦笑いした。
「…さすが風間様ですね。
はっきりと仰る」
自分では決して使わない言葉だからだ。
風間はふんと鼻を鳴らした。
「俺は貴方みたいに上品じゃないんでね。
回りくどい言い方は嫌いなんだ」
「…あの…では、百合子様が風間様との夜の営みを拒まれると…」
「そうだ。
ここ数年、急にだ」
「…急に…。
あの、思い当たる節はございますか?」
風間はため息を吐きながら、疲れたように眉間を揉み解す。
「ないよ。
…まさか百合子に他に好きな人でもできたかと思ったが…」
「まさか!あり得ません」
「ああ。ないだろう。
…相変わらず、俺を大事にしてくれるし…。
俺が女性に囲まれていると、すごく不安な貌をする。
『忍さんはおもてになりますね…』と、心配するんだ。
もし、他に目移りしているなら、嫉妬もないだろうしな」
「ええ」
「…なのにセックスは急に拒み出して…謝りながら泣くんだ。
ごめんなさい…て。
理由を聞いても頑として答えようとはしない」
…参ったよ…本当に…。
弱々しく本音を曝け出す。
月城は暫く思いを巡らせていたが、やがて口を開いた。
「…あの、失礼ですが百合子様はお幾つになられましたか?」
「俺より八つ上だから…五十五かな…。
…若々しくて可愛いから四十くらいにしか見えないけれどね。
見えないよな?三十代と言っても通るよな?」
風間は惚気を挟むことも忘れない。
心底百合子を愛しているのだ。
月城はやがて、ああ…と合点を生かせたように頷いた。
「…なんとなく理解いたしました」
「なんだ?教えてくれ」
意気込む風間に、月城は静かに微笑んで首を振った。
「…いいえ。
これは百合子様から直接お聞きになった方が良い事柄です。
近々、率直にお話し合いされたら如何でしょうか?」
「なんだよ。教えてくれないのか?」
不満顔の風間に、月城はにっこりと涼やかな瞳で笑った。
「…では、ひとつだけ…。
百合子様は間違いなく風間様を愛していらっしゃいます」
「月城さん。…だからどういう…」
…その時、客間のドアが遠慮勝ちにノックされた。
「…失礼いたします。
あなた…。
瑠璃子が大切なお客様を連れてまいりましたの。
会って差し上げてくださらないかしら…」
…百合子の声が、密やかに響いてきたのだった。
「…セックス…ですか…」
「うん。セックス」
月城は、苦笑いした。
「…さすが風間様ですね。
はっきりと仰る」
自分では決して使わない言葉だからだ。
風間はふんと鼻を鳴らした。
「俺は貴方みたいに上品じゃないんでね。
回りくどい言い方は嫌いなんだ」
「…あの…では、百合子様が風間様との夜の営みを拒まれると…」
「そうだ。
ここ数年、急にだ」
「…急に…。
あの、思い当たる節はございますか?」
風間はため息を吐きながら、疲れたように眉間を揉み解す。
「ないよ。
…まさか百合子に他に好きな人でもできたかと思ったが…」
「まさか!あり得ません」
「ああ。ないだろう。
…相変わらず、俺を大事にしてくれるし…。
俺が女性に囲まれていると、すごく不安な貌をする。
『忍さんはおもてになりますね…』と、心配するんだ。
もし、他に目移りしているなら、嫉妬もないだろうしな」
「ええ」
「…なのにセックスは急に拒み出して…謝りながら泣くんだ。
ごめんなさい…て。
理由を聞いても頑として答えようとはしない」
…参ったよ…本当に…。
弱々しく本音を曝け出す。
月城は暫く思いを巡らせていたが、やがて口を開いた。
「…あの、失礼ですが百合子様はお幾つになられましたか?」
「俺より八つ上だから…五十五かな…。
…若々しくて可愛いから四十くらいにしか見えないけれどね。
見えないよな?三十代と言っても通るよな?」
風間は惚気を挟むことも忘れない。
心底百合子を愛しているのだ。
月城はやがて、ああ…と合点を生かせたように頷いた。
「…なんとなく理解いたしました」
「なんだ?教えてくれ」
意気込む風間に、月城は静かに微笑んで首を振った。
「…いいえ。
これは百合子様から直接お聞きになった方が良い事柄です。
近々、率直にお話し合いされたら如何でしょうか?」
「なんだよ。教えてくれないのか?」
不満顔の風間に、月城はにっこりと涼やかな瞳で笑った。
「…では、ひとつだけ…。
百合子様は間違いなく風間様を愛していらっしゃいます」
「月城さん。…だからどういう…」
…その時、客間のドアが遠慮勝ちにノックされた。
「…失礼いたします。
あなた…。
瑠璃子が大切なお客様を連れてまいりましたの。
会って差し上げてくださらないかしら…」
…百合子の声が、密やかに響いてきたのだった。