この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
異邦人の庭 〜secret garden〜
第17章 secret garden 〜永遠の庭〜
「…百合子…」
風間が驚いたように振り返り、妻に近づく。
「どうした?誰が来たって?」
「…お話中、失礼いたします」
折目正しく膝を折り、お辞儀をする所作に薫り立つような気品と優雅さが表れていた。
没落したが由緒正しい華族の出の百合子の侵し難い品位は、人を魅了するに充分足るものだ。
風間百合子はブルーグレイの細やかな刺繍が施されたタフタのドレス姿だった。
ほっそりとしたウエストはとても二人の子どもを産んだとは思えないほどに華奢でか細く、まるで少女のようだ。
その白く小さい卵型の貌は目鼻立ちが優美に整い、高貴な京雛のような美しさであった。
楚々として嫋々として…確かに驚くほどに若々しい。
瑠璃子と並ぶと姉妹に見えるとビストロの客が感心していたっけ…。
…百合子様は少し、暁様に似ているな…。
月城は好意的に百合子を心の中で賛美した。
…風間様のお好みは、一貫しているんだな…。
微笑ましいような、少し嫉妬めいた気持ちを懐く。
「お客様?瑠璃子が?」
風間は不思議そうに尋ねた。
「…ええ。
とても大切なお客様よ。
どうか、穏やかにお迎えして差し上げて…」
百合子が囁くように懇願する。
百合子の背後に控えていたのは、今まさに堅い蕾が麗しく花開かんとするような可憐な美少女の瑠璃子と…
「…ミシェル…!君…!」
風間が眼を見開いた。
「ご、ご無沙汰しています。
ムッシュ・カザマ」
瑠璃子の恋人、ミシェル・エルメがダークグレーのスーツ姿で緊張した面持ちで佇んでいたのだ。
風間が驚いたように振り返り、妻に近づく。
「どうした?誰が来たって?」
「…お話中、失礼いたします」
折目正しく膝を折り、お辞儀をする所作に薫り立つような気品と優雅さが表れていた。
没落したが由緒正しい華族の出の百合子の侵し難い品位は、人を魅了するに充分足るものだ。
風間百合子はブルーグレイの細やかな刺繍が施されたタフタのドレス姿だった。
ほっそりとしたウエストはとても二人の子どもを産んだとは思えないほどに華奢でか細く、まるで少女のようだ。
その白く小さい卵型の貌は目鼻立ちが優美に整い、高貴な京雛のような美しさであった。
楚々として嫋々として…確かに驚くほどに若々しい。
瑠璃子と並ぶと姉妹に見えるとビストロの客が感心していたっけ…。
…百合子様は少し、暁様に似ているな…。
月城は好意的に百合子を心の中で賛美した。
…風間様のお好みは、一貫しているんだな…。
微笑ましいような、少し嫉妬めいた気持ちを懐く。
「お客様?瑠璃子が?」
風間は不思議そうに尋ねた。
「…ええ。
とても大切なお客様よ。
どうか、穏やかにお迎えして差し上げて…」
百合子が囁くように懇願する。
百合子の背後に控えていたのは、今まさに堅い蕾が麗しく花開かんとするような可憐な美少女の瑠璃子と…
「…ミシェル…!君…!」
風間が眼を見開いた。
「ご、ご無沙汰しています。
ムッシュ・カザマ」
瑠璃子の恋人、ミシェル・エルメがダークグレーのスーツ姿で緊張した面持ちで佇んでいたのだ。