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異邦人の庭 〜secret garden〜
第17章 secret garden 〜永遠の庭〜
ランチは和やかに進んだ。
月城のフィッシュパイはため息が出るほどに美味しくて、皆、思わず笑顔になるほどだった。
百合子の手製のラタトゥイユとチーズキッシュも如何にも家庭的な温かな味で、口にするものをふんわり幸せに導くようだった。
ミシェルも漸く緊張を解きながら、瑠璃子と幸せそうに会話を楽しんでいた。
その微笑ましい光景を、暁と月城は優しく見守っていた。
「…良かったね」
暁は傍らの月城を見上げる。
「…はい」
言葉少なに…けれど嬉しそうにその涼やかな瞳を細めると、月城はそっと暁の手に己れの手を重ねた。
…やがて、暁が作ったタルトタタンが食後のドルチェとしてテーブルに配された頃…。
風間が徐ろにミシェルに宣言するかのように言い放ったのだ。
「…ミシェル。
これから君に1ヶ月間、オテル・ド・カザマ本店のロビーの花装飾を任せる。
時間は早朝6時きっかりだ。
遅刻は絶対に許されない。
そして作業時間は2時間以内だ。
1分でもオーバーすることは許されない。
いいな?」
テーブルの一堂が騒めいた。
ミシェルは蒼白になりながら、蒼い眼を見開いた。
「…ぼ、僕がですか⁈
僕が…オテル・ド・カザマのロビーの花を⁈」
…ロビーに飾られるメインの花装飾は、いわばホテルの顔だ。
その花を見れば、そのホテルの格やセンスが推し量られるとさえ言われているのだ。
一流ホテルの花装飾ともなれば、一流のフラワーアーティストが選ばれる。
その重要な仕事を、まだ専門学生のミシェルに任せるなど、とても正気の沙汰とは思えなかったのだ。
月城のフィッシュパイはため息が出るほどに美味しくて、皆、思わず笑顔になるほどだった。
百合子の手製のラタトゥイユとチーズキッシュも如何にも家庭的な温かな味で、口にするものをふんわり幸せに導くようだった。
ミシェルも漸く緊張を解きながら、瑠璃子と幸せそうに会話を楽しんでいた。
その微笑ましい光景を、暁と月城は優しく見守っていた。
「…良かったね」
暁は傍らの月城を見上げる。
「…はい」
言葉少なに…けれど嬉しそうにその涼やかな瞳を細めると、月城はそっと暁の手に己れの手を重ねた。
…やがて、暁が作ったタルトタタンが食後のドルチェとしてテーブルに配された頃…。
風間が徐ろにミシェルに宣言するかのように言い放ったのだ。
「…ミシェル。
これから君に1ヶ月間、オテル・ド・カザマ本店のロビーの花装飾を任せる。
時間は早朝6時きっかりだ。
遅刻は絶対に許されない。
そして作業時間は2時間以内だ。
1分でもオーバーすることは許されない。
いいな?」
テーブルの一堂が騒めいた。
ミシェルは蒼白になりながら、蒼い眼を見開いた。
「…ぼ、僕がですか⁈
僕が…オテル・ド・カザマのロビーの花を⁈」
…ロビーに飾られるメインの花装飾は、いわばホテルの顔だ。
その花を見れば、そのホテルの格やセンスが推し量られるとさえ言われているのだ。
一流ホテルの花装飾ともなれば、一流のフラワーアーティストが選ばれる。
その重要な仕事を、まだ専門学生のミシェルに任せるなど、とても正気の沙汰とは思えなかったのだ。