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異邦人の庭 〜secret garden〜
第17章 secret garden 〜永遠の庭〜
「…貴方も懲りない方ですね」
暁はくすりと笑い、白く華奢な手を風間の引き締まった頰に伸ばした。

…あたたかな温もり…。
変わらぬ風間の愛用の香水…。
…礼也とも大紋とも…もちろん月城とも違う風間の薫り…。 

この薫りが大好きだった…。
ふと思う。

風間との恋は短いものだった。
大紋との辛い別れを、風間はその身体と心で癒やしてくれた。
風間のお陰で、暁は立ち直れ、前を向けたのだ。
それが分かったから、暁は風間と百合子の恋を後押ししたのだ。
だから、風間との別れは辛くはなかった。
…甘く、微かにほろ苦い…けれど心地よい恋の痛みを感じるのみだ。

「何を考えている?」
貌を覗き込まれ、ふっと笑う。
「…貴方のことですよ…。
あの頃…貴方には随分温めてもらったな…て」
…それから…

長い睫毛を瞬かせ、そっと囁いた。

「…貴方のこと、好きだったな…て」

風間が苦しげに眉を寄せ、更にミモザの茂みに暁を押しつけた。
白く形の良い顎を荒々しく掴む。
唇を奪うくらいに近い距離から見つめられる。

「…お前は…俺を煽りたいのか?」
引き寄せられ、風間の成熟した逞しい男の身体が密着する。
…かつて濃密に、狂おしく味わされた男の獣性が生々しく甦る。
それは、暁の官能を甘美に刺激する…。

…けれど…

暁はにっこりと微笑み、首を振る。

「…いいえ。素直な気持ちです。
僕はあの頃、貴方がとても好きでした。
貴方は限りなく優しかった。
貴方の優しさの中で、僕は随分甘やかしてもらいました。
貴方との恋は…とても幸せだった。
だから、今もこうして貴方とは友達でいられるのですよ」



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