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異邦人の庭 〜secret garden〜
第17章 secret garden 〜永遠の庭〜
「…愛している…紗耶…。
済まなかった…。あの日…きみを置いていってしまって…」

…海の見える部屋…朝陽が優しく照らす中、天使のような寝顔をしたこの娘を、断腸の思いで置き去りにした。
自分とともに生きることが、紗耶の幸せとは思えなかったからだ。

「…先生…。
ほんとよ…。酷いわ…何も言わないで消えてしまうなんて…。
私…先生を諦めなきゃ…て思ったけれど…諦められなくて…。
お兄ちゃまやお父様やお母様…みんなを散々傷つけたわ…」
「…ごめん…。きみだけに責めを負わせてしまったね」
紗耶の華奢な手が、苛立たしげに藤木の胸を叩く。
「先生を探すの、大変だったんだから…!
どんなに探しても全然見つからなくて…ようやく、奇跡みたいに先生の足跡を見つけて…。
…それなのに…ニースにも、グラースにもいなくて…ひったくりと、置き引きにあって…無一文になっちゃって…髪も切って…日焼けもして…みすぼらしくて…。
…先生に逢える貌じゃないわ…」
子どものように泣きじゃくる紗耶の短く美しい髪を愛おしげに撫でる。
「…ごめんね、紗耶。
追いかけてきてくれて、ありがとう…。
…それから…」
涙に塗れた小さな貌を持ち上げる。
瞬きする間も惜しくて、じっと見つめる。

「…きみは綺麗だ…。相変わらず…。
…いや、今のきみが一番綺麗だよ。
ダイヤモンドが輝くように…ひれ伏したいくらいに、美しい…」
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