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異邦人の庭 〜secret garden〜
第17章 secret garden 〜永遠の庭〜
…波の…音がする…。

紗耶は夢うつつのまま、その穏やかな、子守唄のような音にうっとりと耳を傾けていた。

…波の音…

どこ…?ここは…。
房総の…海…?

…房総の…小さな港町…。
藤木がかつて子ども時代を過ごしたという町…。

紗耶は藤木に連れられて、訪れたのだ。
…婚約式をすっぽかして…まるで駆け落ちのように…
…それから…
どうしたんだっけ…。

…そうよ…一晩、先生と過ごして…そして…。

紗耶ははっと眼を覚ました。
嫌な想い出が、蘇る。

「先生!
先生、どこ⁈」
飛び起きて、叫んだ。

「…あ…」

…房総の…町じゃない…。

開け放った窓から差し込む光は、日本のそれではない。
鮮やかな、陽気な陽光だ。

窓から見える海も、クリアな明るいエメラルドグリーンだ。

紗耶はほっと息を吐く。

…そうよ…。
思い出したわ…。

私は、ニースに来たのだわ。
…藤木先生を追いかけて…
そして、ようやく逢えたのだ…。

頭の中が、やっと霧が晴れたかのようにすっきりとしてきた。

…先生と逢えて…抱きしめられて…キスされて…

それから…
…どうしたのだっけ?

考えこんでいると、寝かされていた寝台のヘッドボードが眼に入った。

…胡桃色のアンティークなダブルベッド…。

きっと、すごく古いものだわ…。
簡素だけれど、品の良い飴色の艶があり、決して安物ではないことが解る。

紗耶はふと眼を凝らす。

…何か…書いてある…のかしら…?

うっすら、細いペン先で削るように、フランス語の文字らしきものが描かれているような気がしたのだ。

そっと指先でなぞろうとした時…。

「…紗耶?
気がついた?」

隣室の扉から、藤木が心配そうな表情で貌を覗かせたのだ。

「…先生…!」
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