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異邦人の庭 〜secret garden〜
第5章 ペニー・レーンの片想い
「やあ、久しぶりだね、高遠。
元気そうでなによりだ。
…相変わらず綺麗だな…。君は…」
…そのすらりとした長身の男は千晴に会うなり、柔かに洗練された仕草で西洋式に抱擁の挨拶を交わした。
教務棟の文学部の研究室…入り口の壁には「准教授 清瀧柊司」のシルバーのネームプレートがつけられていた。
「君もね。清瀧。…何年振りかな。
…ああ、そうだ。結婚おめでとう。
新婚さんだったね。大変な美人の奥さんだと聞いているよ」
千晴が楽し気に笑って挨拶をする。
…こんなにも砕けた気楽そうな千晴を見るのは初めてだ。
紗耶は眼を見張る思いだった。
清瀧は千晴の後ろに隠れるように立っている紗耶に気づき、優しく微笑んだ。
「…君の方こそ…。
こんなに可愛らしい不思議の国のアリスのようなお嬢さんがフィアンセか…。
ルイス・キャロルを地で行くなよ」
やや悪戯めいた眼差しで、千晴にウィンクをした。
千晴は澄ました貌で、清瀧の脇腹に拳を入れる振りをした。
清瀧が朗らかな笑い声を立て、紗耶に親しみの篭った目礼をする。
そうして、優雅に手を差し伸べた。
「…さあ、どうぞこちらに。
貴女にお会い出来るのを楽しみにしていたのですよ。
…難攻不落の美貌の貴公子の高遠を射止めた、稀有なお嬢さんですからね…」
元気そうでなによりだ。
…相変わらず綺麗だな…。君は…」
…そのすらりとした長身の男は千晴に会うなり、柔かに洗練された仕草で西洋式に抱擁の挨拶を交わした。
教務棟の文学部の研究室…入り口の壁には「准教授 清瀧柊司」のシルバーのネームプレートがつけられていた。
「君もね。清瀧。…何年振りかな。
…ああ、そうだ。結婚おめでとう。
新婚さんだったね。大変な美人の奥さんだと聞いているよ」
千晴が楽し気に笑って挨拶をする。
…こんなにも砕けた気楽そうな千晴を見るのは初めてだ。
紗耶は眼を見張る思いだった。
清瀧は千晴の後ろに隠れるように立っている紗耶に気づき、優しく微笑んだ。
「…君の方こそ…。
こんなに可愛らしい不思議の国のアリスのようなお嬢さんがフィアンセか…。
ルイス・キャロルを地で行くなよ」
やや悪戯めいた眼差しで、千晴にウィンクをした。
千晴は澄ました貌で、清瀧の脇腹に拳を入れる振りをした。
清瀧が朗らかな笑い声を立て、紗耶に親しみの篭った目礼をする。
そうして、優雅に手を差し伸べた。
「…さあ、どうぞこちらに。
貴女にお会い出来るのを楽しみにしていたのですよ。
…難攻不落の美貌の貴公子の高遠を射止めた、稀有なお嬢さんですからね…」