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異邦人の庭 〜secret garden〜
第5章 ペニー・レーンの片想い
…大学近くの小さな焼き鳥屋の狭い座敷に、ペニー・レーンのメンバーがすし詰め状態に勢ぞろいした。

「それでは!ヴァイオリンのお姫様の入部を祝して、乾杯〜!」
丸メガネの青年がビールジョッキを掲げる。
ジョッキが壊れんばかりにがちゃりと合わさる。
「乾杯〜!」
「ありがとね、サーヤちゃん!」
丸メガネの青年がにこにこと笑いかける。
サーヤサーヤとコールが湧き上がる。
「サ、サーヤ?」
面食らう紗耶に隼人が、焼き鳥の串を差し出す。
「紗耶だからサーヤがいいんじゃないか…て小宮さんがさ。
小宮さんは部員のニックネームつけるのが趣味なの。
あ、小宮さんは部長な。三年生。でも二回目の三年生。
就活する気もないから多分三回目もあり。
裏表八年はいられるからって余裕綽々のチョ〜猛者な」
「…は、はあ…」
…やっぱり、変な人ばかりだ…。
紗耶は少しだけ入部を後悔した。

「ほら、食え。焼き鳥。ここの焼き鳥は美味いぞ。
安いけどちゃんと信州地鶏使ってんだ」
隼人が男らしい貌に笑みを浮かべ、串を差し出す。
「…あ…いただきます…」
皿に乗せ、箸で串から焼き鳥を外そうとすると…
「何やってんだよ。そのまま食え」
隼人の声が飛んだ。
「え?」
「焼き鳥は串から食うから美味いんだ。
懐石料理食ってんじゃねえんだからよ」
そう言って綺麗な歯並びでわしわしと焼き鳥を食べ始める。
「…は、はい…」
隼人を真似してそのまま焼き鳥を口に入れる。
…香ばしくぱりっと焼けた鷄の旨味が広がる。
「…美味しい…!焼き鳥って、こんなに美味しいんですね…!」
感激したように眼を丸くする。
「もしかして…焼き鳥食べたの、初めて?」
アネゴこと大導寺梢がぐびりとビールを煽りながら尋ねる。
「はい。焼き鳥も居酒屋さんも生まれて初めてです」
はにかみながら答えると、一同からおお…と、不思議な響めきが上がった。

「隼人…。こりゃまた天然記念物級お嬢をナンパしてきちゃったね」
梢が囁くと
「ナンパ言うな。勧誘だ勧誘。
…けど…マジ天然記念物級は間違いないな…」
隼人はしみじみ呟いた。

…その時、紗耶のスマートフォンから着信音が鳴り響いた。

「…あ…」
画面には千晴の名前が浮かび上がっていた。
慌てて着信ボタンを押す。

「もしもし?千晴お兄ちゃま?」

…おお…!お兄ちゃまか…!
一同が再び響めいた。








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