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第1章 春風が運んだ花

少し話をしていると、彼は生花教室を開いているということがわかった。
彼の名前は椿さん、苗字は教えてくれなかった。
どうやら近所に住んでいるらしく、庭で生花に使う花を育てたりしているとか。

「明日も来てもいいですか？」

帰り際、そう問いかけられた。

もちろん、と微笑む

私の答えに嬉しそうに目を細めて笑う椿さんの頬は、気のせいか来店した時よりも桜色に染まっている気がした。