この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
飛べないあの子
第5章 EpisodeⅤ
「勉強より君との時間の方が大事」
「・・・・・受験生が言って良い台詞じゃない!」
仕事で散々受験期に年末も正月もないと言ってきた身として、今まさに自分が受験生の邪魔をしているのかと思うと凛は気が気じゃなかった。
「・・・・・私、帰る」
「え!?」
慧が驚いて、凛を掴んでいた腕に力が入る。
「何で?俺、現役の時より勉強してるよ。昨日も昼間はずっと勉強してたし。大丈夫。共通テスト9割以上取れてるから」
「受験に絶対はありません」
凛の頑なな口調に慧が眉をひそめる。
「言わなきゃ良かった・・・・・・」
その言い方が子供のようで可愛らしく、凛は笑ってしまいそうになるのを堪えて起き上ろうとした。
心を鬼にして帰ろう。ちゃんと勉強して、夢を叶えて欲しい。
「待って!お願い、今日は一緒にいて。明日から必ずする」
「・・・・・・・・」
「やっと君とこうして過ごせるようになったのに、これで帰るとか辛すぎる。こんな状態じゃかえって勉強なんか手につかない」
「でも・・・・・・長年の夢を叶える大事な時でしょう?」
「今、君といる時間の方が大事」
慧の真剣な眼差しに胸がきゅ・・・・と締め付けられる。
こんな風に言われて嬉しくないわけがない。
「今日一日勉強しないぐらいで落ちるなら、何したって落ちる。大丈夫。今年だめでも何回でも挑戦するつもりだから。そんな中途半端な気持ちで目指してるわけじゃない」
慧はどうしても今日は一緒にいてほしいみたいだ。
凛の身体から徐々に力が抜ける。
「・・・・・・わかった」
慧が心底ほっとした様子で息を吐いた。
「そのかわり、少しでも・・・・・・一時間でも良いから勉強しよ?私も一緒にするから」
「オーケー」
慧が凛を後ろから抱きしめた。
「お節あるから一緒に食べよう」
「お節・・・・・・。ちゃんと用意してるんだね」
「いらないって言うのに、妹が毎年送ってくるんだ。日本酒と一緒に」
「日本酒・・・・・・!」
「妹の旦那の親戚が老舗の酒蔵でね。すごく上手い酒だよ。・・・・・・けど、勉強するなら酒は夜まで我慢するか」
「うん」
凛は自分のウェストの前で合わされた慧の手を見つめる。
その上に自分の手を重ねた。
慧が受験すると聞いて、ようやく色々なことが腑に落ちた気がする。
「・・・・・・やっぱり、西辻くんは鷲か鷹だったか・・・・・」
「・・・・・受験生が言って良い台詞じゃない!」
仕事で散々受験期に年末も正月もないと言ってきた身として、今まさに自分が受験生の邪魔をしているのかと思うと凛は気が気じゃなかった。
「・・・・・私、帰る」
「え!?」
慧が驚いて、凛を掴んでいた腕に力が入る。
「何で?俺、現役の時より勉強してるよ。昨日も昼間はずっと勉強してたし。大丈夫。共通テスト9割以上取れてるから」
「受験に絶対はありません」
凛の頑なな口調に慧が眉をひそめる。
「言わなきゃ良かった・・・・・・」
その言い方が子供のようで可愛らしく、凛は笑ってしまいそうになるのを堪えて起き上ろうとした。
心を鬼にして帰ろう。ちゃんと勉強して、夢を叶えて欲しい。
「待って!お願い、今日は一緒にいて。明日から必ずする」
「・・・・・・・・」
「やっと君とこうして過ごせるようになったのに、これで帰るとか辛すぎる。こんな状態じゃかえって勉強なんか手につかない」
「でも・・・・・・長年の夢を叶える大事な時でしょう?」
「今、君といる時間の方が大事」
慧の真剣な眼差しに胸がきゅ・・・・と締め付けられる。
こんな風に言われて嬉しくないわけがない。
「今日一日勉強しないぐらいで落ちるなら、何したって落ちる。大丈夫。今年だめでも何回でも挑戦するつもりだから。そんな中途半端な気持ちで目指してるわけじゃない」
慧はどうしても今日は一緒にいてほしいみたいだ。
凛の身体から徐々に力が抜ける。
「・・・・・・わかった」
慧が心底ほっとした様子で息を吐いた。
「そのかわり、少しでも・・・・・・一時間でも良いから勉強しよ?私も一緒にするから」
「オーケー」
慧が凛を後ろから抱きしめた。
「お節あるから一緒に食べよう」
「お節・・・・・・。ちゃんと用意してるんだね」
「いらないって言うのに、妹が毎年送ってくるんだ。日本酒と一緒に」
「日本酒・・・・・・!」
「妹の旦那の親戚が老舗の酒蔵でね。すごく上手い酒だよ。・・・・・・けど、勉強するなら酒は夜まで我慢するか」
「うん」
凛は自分のウェストの前で合わされた慧の手を見つめる。
その上に自分の手を重ねた。
慧が受験すると聞いて、ようやく色々なことが腑に落ちた気がする。
「・・・・・・やっぱり、西辻くんは鷲か鷹だったか・・・・・」

作品検索
しおりをはさむ
姉妹サイトリンク 開く


