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飛べないあの子
第2章 揺らぐ影
その後、凛は校長に報告し、保護者を交えて話し合おうとなったが、話し合いが行われる前に橋本は予備校を辞めてしまった。
凛の方は複雑な気持ちだったが、辞めてくれたことにホッとしていたのも事実だった。
慧も凛に絡まなくなり、以前の日常に戻りつつあった。
慧は生徒たちに人気で、いつも誰かしらに取り囲まれていた。
数学の質問も熱心に応えているようだった。
凛とは廊下ですれ違っても、表情も変えずに通り過ぎるだけ・・・・・・。
凛の方も同じだった。
胸の片隅に若干重いものを感じながらも、とりあえずは上辺だけでも平穏な日々に戻ったことに凛は安堵していた。

「凛ー」

友人の響がカフェのテラス席で手を振った。
凛は手をあげて響のいる席に向かった。

「久しぶりー」
「久しぶりだね。すごい・・・・・・それ全部買ったの?」

凛は響の隣の椅子に置いてある紙袋を見て呆気に取られた。

「半年に一回の楽しみだよー?いいのいいの!」

凛はカフェラテを頼んだ。
響がニコニコしながら身を乗り出して尋ねる。

「どうですか?中谷センセ。お仕事の方は」
「どうって・・・・・・。まあ、変わらずかな」
「あーあ。いいなー。やっぱり東京で就職したら良かったなぁ」

これが響の口癖だった。響は大学生の時は東京で過ごしたが、就職は地元でした。女子アナになると言って頑張っていたが、夢は叶わなかった。
今でも典型的な女子アナファッションで身を包み、半年に一度買い物をしに東京にやってくる。化粧も完璧で、髪も綺麗に手入れされ、ミディアムヘアは内巻きに綺麗にカールしている。
しばらく近況を報告しあったり、雑談をした後に、響が照れたような可愛らしい笑顔になって話し始めた。

「ねえねえ、高校の時のさ。城田って覚えてる?西辻グループにいた」

西辻という名前が出てドキリとする。
城田は慧と一番仲が良かった人物だ。

「あいつさ、親の会社継ぐために地元に戻ってきたらしいんだけど、この前偶然歯医者で会ってさ。飲みに行こうってうるさくて。まあ、一度飲みに行ったのよ」
「うん」
「でさ、あいつらってもう印象最悪だったじゃない?あのグループには近づくなみたいなさ。みんな怖がっちゃって。だから、まあ、私も若干びくびくしながら話してたんだけど、意外と普通なのよね」
「そうなんだ・・・・・・・・」


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