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飛べないあの子
第2章 揺らぐ影
「先生、俺、どうしても大学に行きたいわけじゃないんです」
「ふーん。そうなんだ」

男子生徒と慧の声が聞こえてきて、凛はドキリとした。
凛は物理を教えて欲しいという女子生徒と問題を一緒に解いているところだった。
パーテーションを隔てた向こう側から声が聞こえてきて、思わず聞き耳を立てる。

(倉持くんだ・・・・・・)

倉持は進学校の現役高校生で、どことなく雰囲気が慧に似ている生徒だった。

「大学行かないで、何かやりたいことがあるの?」
「ないです。勉強がなんとなく得意だったから今までやってきただけなんで」
「そう・・・・・・・。まぁ、講師としては‘今は見つからなくても、大学に入ってからじっくり見つけたら’とか言うべきなんだろうけど、いいんじゃない?大学なんか行かなくても」

凛は隣の会話が気になりながらも、理解不足だった箇所の説明を終えて女子生徒に問題を解かせる。

「・・・・・・正直、疲れちゃったってのもあるんですよね。小学生の頃から、お前は賢いって親にも先生にも友達にも言われてきて。なぜかみんな自分の手柄のように喜ぶから、応えたい気持ちもあって無理してきたんです。俺、学校だとクールとか大人とか言われてるけど、実際はアニメ大好きだし、ドのつく怖がりだし。なんかいつの間にかみんなが勝手に俺のイメージ作り上げてるんです。それ通りにしてないと『え?どうした?』みたいな。これが大学も続くのかと思うと・・・・・・。自分のこと知ってる人がいないところに行ってしまいたいってなる」
「・・・・・それ、勉強したくないのか今の環境変えたいのか、どっちなんだろうね」
「え?」
「本当にみんなに言われるからってだけで勉強してきた?勉強、楽しいと思ったことない?」
「んー・・・・・・。楽しいと思うこともあるよ。先生の授業聞き始めて数学楽しくなったし。行くなら数学科かなって思ってる」
「じゃあさ、数学で合いそうな学校があるか探すってのはどう?実家から通えないところで」
「え?」
「突き詰めると、‘大学行きたくない’じゃなくて、‘今の生活から抜け出したい’ってことだったりしない?俺は、地元から離れたいからって理由で大学選んでもいいと思ってるよ」

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