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飛べないあの子
第2章 揺らぐ影
凛は仕事を終えて予備校の校舎を出ると時計を見た。
(21時か・・・・・・・)
凛はいつもは家の近くのコンビニでお酒を買うが、明日は休みだし、今日は少し良いワインを飲みたいと思って、駅を通り過ぎた場所にある24時まで営業している高級スーパーマーケットに向かった。
籠を持ってワインの棚に向かう。
ふと、慧の姿が目に入って、慌てて隣の棚に逃げた。
(西辻先生・・・・・・・・)
まさかここで慧と会うと思っていなかった。
でも、これは謝罪するチャンスだ。
スーパーの中で話すわけにはいかないので、凛は外へ出て慧が出てくるのを待とうと思い、そっと歩き出した。
「やっぱり中谷先生でしたか」
ギクっとして横を見ると、ワインの棚の列から慧が顔を出している。
距離を詰めずに、その場でにっこりと笑った。
「お疲れさまです」
「お疲れ様です・・・・」
「お買いものですか?」
「・・・・・・・いえ」
慧は苦笑した。
「俺のせいで買い物もできないなんて、申し訳なくて首吊りそうなんで、買い物してってください」
慧があまりに物騒なことを言うので、凛はギョッとした。
お店の人がジロジロと二人のことを見ている。
「はい・・・・・・・・」
凛はワインの棚へと向かった。
慧は手に一本ワインを持っていたが、まだ買うつもりなのか凛と並んで物色していた。
「中谷先生はどんなワインが好きですか?」
凛は少しだけ顔を慧の方に向けて横目で見上げた。
このくらいの会話は良いだろうという圧を感じる。
「私は・・・・・・・特にこだわりはないです。フルボディのやつを選ぶくらいで」
「そうですか。俺も同じです」
「そうですか」
凛はとりあえず価格的にもちょうど良いチリ産のカベルネ・ソーヴィニヨンを手に取った。
「それにしますか?」
「はい。これにします」
「では、俺もそれにします」
「え?」
慧は手に持っていたワインを棚に戻すと、凛と同じものを手に取った。
「それではお先です」
慧は会釈するとレジに向かって行った。
「・・・・・・・・・」
凛は先ほど慧が戻したワインを見つめた。
躊躇いながら手に取る。
チーズもじっくり選んで買いたかったが、迷ってる時間は無い。
チーズはあとにして、とりあえずワインだけ急いで会計を済ませる。
(21時か・・・・・・・)
凛はいつもは家の近くのコンビニでお酒を買うが、明日は休みだし、今日は少し良いワインを飲みたいと思って、駅を通り過ぎた場所にある24時まで営業している高級スーパーマーケットに向かった。
籠を持ってワインの棚に向かう。
ふと、慧の姿が目に入って、慌てて隣の棚に逃げた。
(西辻先生・・・・・・・・)
まさかここで慧と会うと思っていなかった。
でも、これは謝罪するチャンスだ。
スーパーの中で話すわけにはいかないので、凛は外へ出て慧が出てくるのを待とうと思い、そっと歩き出した。
「やっぱり中谷先生でしたか」
ギクっとして横を見ると、ワインの棚の列から慧が顔を出している。
距離を詰めずに、その場でにっこりと笑った。
「お疲れさまです」
「お疲れ様です・・・・」
「お買いものですか?」
「・・・・・・・いえ」
慧は苦笑した。
「俺のせいで買い物もできないなんて、申し訳なくて首吊りそうなんで、買い物してってください」
慧があまりに物騒なことを言うので、凛はギョッとした。
お店の人がジロジロと二人のことを見ている。
「はい・・・・・・・・」
凛はワインの棚へと向かった。
慧は手に一本ワインを持っていたが、まだ買うつもりなのか凛と並んで物色していた。
「中谷先生はどんなワインが好きですか?」
凛は少しだけ顔を慧の方に向けて横目で見上げた。
このくらいの会話は良いだろうという圧を感じる。
「私は・・・・・・・特にこだわりはないです。フルボディのやつを選ぶくらいで」
「そうですか。俺も同じです」
「そうですか」
凛はとりあえず価格的にもちょうど良いチリ産のカベルネ・ソーヴィニヨンを手に取った。
「それにしますか?」
「はい。これにします」
「では、俺もそれにします」
「え?」
慧は手に持っていたワインを棚に戻すと、凛と同じものを手に取った。
「それではお先です」
慧は会釈するとレジに向かって行った。
「・・・・・・・・・」
凛は先ほど慧が戻したワインを見つめた。
躊躇いながら手に取る。
チーズもじっくり選んで買いたかったが、迷ってる時間は無い。
チーズはあとにして、とりあえずワインだけ急いで会計を済ませる。