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飛べないあの子
第3章 届きそうな距離
「またそんな渋い顔して」
「・・・・・・・・・・」
「教えてくれないなら、盛大に拗ねますよ」
盛大に拗ねている慧を想像して、笑いだしそうになる。
なんとか堪えて、わかりましたと頷いた。
慧はにっこりとほほ笑んでスマホを取り出した。
「ちゃんと返信してくださいね」
「しますよ。でも・・・・・・仕事の話ですよね?」
「仕事の話でも、日常の些細なことでも、何でも」
「・・・・・・・・・」
何だか騙されたような気分になるが、今さら後に引けなかった。
スマホに慧の連絡先が登録される。
行き来が制限されていた二人の間にトンネルが出来たみたいな感覚だった。