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飛べないあの子
第3章 届きそうな距離
優菜はコンパできることになって嬉しかったようで、飲み過ぎてべろべろに酔っぱらっていた。
凛がタクシーで自宅まで付き添うと言ったが、麻子が自分の方が自宅が近いからと一緒にタクシーに乗り込んでいった。
二人を見送ると、凛は慧と一緒に歩き出した。
二人になると途端に沈黙が訪れる。
なんとなく慧の機嫌が悪いように感じる。
「あ・・・・・・西辻先生、コンパのことですけど、私じゃなくて乃木先生が行くことになりました」
「そうですか」
「なので、少し年上の方をお一人でも連れてきていただけたら」
「わかりました」
慧の声がやはり冷たい。機嫌が悪いことはわかったが、何が原因なのかわからなかった。
(わからないから・・・・・・もう、いいや)
凛は気を使うのをやめた。
黙って歩く。
駅が近づいて、凛がさよならの挨拶をしようとした時だった。
「なんで・・・・・・・」
「?」
「俺と二人の時は、あんな風に話してくれないんですか」
「・・・・・・・え?」
「俺と話す時と、あまりに違いすぎません?」
凛は慧を見上げた。
慧はすねているように見えた。
(もしかして、そんなことで機嫌悪くなってるの・・・・・・・?)
凛は良くわからないながらも弁解した。
「それは・・・・・・・乃木先生たちの方がお付き合い長いですし・・・・・・・。なんとなくご存知かと思いますけど、そもそも私のパーソナルスペースは広いので、打ち解けるのに時間がかかる厄介な人間なんです。西辻先生とは、その・・・・・・色々ありましたし、正直、どう接していけばいいのかまだ手探りなとこもあって・・・・・」
凛はフォローするつもりでバカ正直に思っていることを話したが、慧は余計に機嫌悪くなったようだった。
「連絡先だって俺には全然教えてくれなかったのに・・・・・・・。出会ったその日に教えるとか・・・・・・・」
「だからそれは酔った勢いというか、その場の雰囲気に流されたというか。基本的にはすぐに教えたりしません。西辻先生に限らずです」
凛がそこまで言うと、慧は小さくため息を吐いて右手で口を覆った。
「すみません・・・・・・。急に変なこと言って・・・・・・。一人で何をムカついてんだって感じですね・・・・・・」
凛がタクシーで自宅まで付き添うと言ったが、麻子が自分の方が自宅が近いからと一緒にタクシーに乗り込んでいった。
二人を見送ると、凛は慧と一緒に歩き出した。
二人になると途端に沈黙が訪れる。
なんとなく慧の機嫌が悪いように感じる。
「あ・・・・・・西辻先生、コンパのことですけど、私じゃなくて乃木先生が行くことになりました」
「そうですか」
「なので、少し年上の方をお一人でも連れてきていただけたら」
「わかりました」
慧の声がやはり冷たい。機嫌が悪いことはわかったが、何が原因なのかわからなかった。
(わからないから・・・・・・もう、いいや)
凛は気を使うのをやめた。
黙って歩く。
駅が近づいて、凛がさよならの挨拶をしようとした時だった。
「なんで・・・・・・・」
「?」
「俺と二人の時は、あんな風に話してくれないんですか」
「・・・・・・・え?」
「俺と話す時と、あまりに違いすぎません?」
凛は慧を見上げた。
慧はすねているように見えた。
(もしかして、そんなことで機嫌悪くなってるの・・・・・・・?)
凛は良くわからないながらも弁解した。
「それは・・・・・・・乃木先生たちの方がお付き合い長いですし・・・・・・・。なんとなくご存知かと思いますけど、そもそも私のパーソナルスペースは広いので、打ち解けるのに時間がかかる厄介な人間なんです。西辻先生とは、その・・・・・・色々ありましたし、正直、どう接していけばいいのかまだ手探りなとこもあって・・・・・」
凛はフォローするつもりでバカ正直に思っていることを話したが、慧は余計に機嫌悪くなったようだった。
「連絡先だって俺には全然教えてくれなかったのに・・・・・・・。出会ったその日に教えるとか・・・・・・・」
「だからそれは酔った勢いというか、その場の雰囲気に流されたというか。基本的にはすぐに教えたりしません。西辻先生に限らずです」
凛がそこまで言うと、慧は小さくため息を吐いて右手で口を覆った。
「すみません・・・・・・。急に変なこと言って・・・・・・。一人で何をムカついてんだって感じですね・・・・・・」