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飛べないあの子
第4章 刻まれるキス
「今日は誰かと飲みたくなるくらいの何かがあったの?」
「おかーさまに、国土交通省の町田君とお見合いさせられそうになってるんだって」
アカネはおでんを皿に盛りながら二ヒヒと笑った。
「・・・・・・ここには、個人情報保護法は存在しませんね・・・・・・」
凛はアカネを責めるように上目遣いで見た。
「国土交通省の町田君・・・・・・・。お見合いするの?」
慧の声のトーンがわずかに低くなる。
「しないよ。そんなのもう・・・・・・光の速さで断ったよ」
「光の速さで?」
慧が、あははと声を上げて笑った。
笑うと目元が一気に優しくなってドキリとする。
「さすが物理の先生。それ、マクスウェルなら光じゃなくて電磁波って言うのかな」
「・・・・・・・・・」
大学時代の友人以外で、こんな風に物理ネタで返してくれる人はいなかった。
思わず胸がキュンとしてしまう。
(物理ネタで胸キュンって・・・・・・・)
慧は、こんなことで自分の株が上がったとは全く思ってなさそうだ。
楽しそうにお酒を飲んでいる慧の横顔を見て、凛も嬉しくなった。
一人の男性客が、よぉ久しぶり、いっぱいだけ飲ませてと顔を出した。
アカネは笑顔であちらに行ってしまった。
しばらく二人でおでんを食べる。
「上野に来るの、久しぶりだな」
「久しぶり・・・・・・・あ、そうか。東大近いもんね」
凛はもぐもぐと大根を食べ終わると、チラと慧の様子を見て思い切って尋ねてみた。
「西辻君て、どうして東大辞めたの?」
慧は一瞬驚いた顔をしたあと、クスリと笑った。
「?」
「いや、やっとその質問がきたなと思って。普通、東大中退したっていう情報を得たらすぐに聞いてくるから。まあ、それだけ俺のことに興味がなかったってことだと思うけど」
「違うよ。その・・・・・聞いていいのかなと思って」
凛は鋭い指摘をごまかすために日本酒を一気に飲み干して、おかわりをオーダーした。
慧もほとんど空になっていたグラスを持ちあげて、俺もと言った。
「おかーさまに、国土交通省の町田君とお見合いさせられそうになってるんだって」
アカネはおでんを皿に盛りながら二ヒヒと笑った。
「・・・・・・ここには、個人情報保護法は存在しませんね・・・・・・」
凛はアカネを責めるように上目遣いで見た。
「国土交通省の町田君・・・・・・・。お見合いするの?」
慧の声のトーンがわずかに低くなる。
「しないよ。そんなのもう・・・・・・光の速さで断ったよ」
「光の速さで?」
慧が、あははと声を上げて笑った。
笑うと目元が一気に優しくなってドキリとする。
「さすが物理の先生。それ、マクスウェルなら光じゃなくて電磁波って言うのかな」
「・・・・・・・・・」
大学時代の友人以外で、こんな風に物理ネタで返してくれる人はいなかった。
思わず胸がキュンとしてしまう。
(物理ネタで胸キュンって・・・・・・・)
慧は、こんなことで自分の株が上がったとは全く思ってなさそうだ。
楽しそうにお酒を飲んでいる慧の横顔を見て、凛も嬉しくなった。
一人の男性客が、よぉ久しぶり、いっぱいだけ飲ませてと顔を出した。
アカネは笑顔であちらに行ってしまった。
しばらく二人でおでんを食べる。
「上野に来るの、久しぶりだな」
「久しぶり・・・・・・・あ、そうか。東大近いもんね」
凛はもぐもぐと大根を食べ終わると、チラと慧の様子を見て思い切って尋ねてみた。
「西辻君て、どうして東大辞めたの?」
慧は一瞬驚いた顔をしたあと、クスリと笑った。
「?」
「いや、やっとその質問がきたなと思って。普通、東大中退したっていう情報を得たらすぐに聞いてくるから。まあ、それだけ俺のことに興味がなかったってことだと思うけど」
「違うよ。その・・・・・聞いていいのかなと思って」
凛は鋭い指摘をごまかすために日本酒を一気に飲み干して、おかわりをオーダーした。
慧もほとんど空になっていたグラスを持ちあげて、俺もと言った。