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飛べないあの子
第4章 刻まれるキス
「・・・・・前に、中谷さんのこと‘俺に似てる’って言ったの、覚えてる?」

慧が前を向いたまま尋ねた。

「うん」
「俺もよくやってたからさ。面倒になってきて、その場の会話を早く終わらせたくて全然悪いと思ってないのに謝るってやつ」

凛は少し恥ずかしい気持ちでチラと慧を見上げた。
フ・・・・・・と慧は小さく笑って続けた。

「似てると思ったんだけど・・・・・・。あの後、あのスーパーで会った時。わざわざ俺のこと追いかけて謝ってくれた時・・・・・・・。自分の行動省みて謝る姿見て、ショック受けた」
「ショック?」
「この子は俺と違う。本当に悪かったと思うこともちゃんと謝ってるって。俺さ、悪いと思ってないことは簡単に謝れるけど、本当に悪いと思ってることはなかなか謝れない。なぜかわかる?」

慧が立ち止まって凛を見た。
凛は首を横に振った。

「心から謝ったのに許してもらえなかったら?あとはどうしたら許してくれるの?って、怖くなる」
「・・・・・・・」

慧の顔があまりに寂しそうで、凛の胸を突いた。

「あの時・・・・・・君が素直に謝る姿を見て、自分でも驚くぐらい自然と謝罪の言葉が出た。君が許してくれて・・・・・すごく心が軽くなった」

凛は思わず慧の手をきゅ・・・・と強く握った。
慧が屈んで凛の顔を覗き込む。
電灯の明かりが慧によって遮られ、視界が暗くなる。

「ねえ・・・・・・。俺の印象、少しは良くなった?まだ昔のまま?」
「そ、そんなことないよ。今は・・・・・ちゃんと今の西辻くんのこと、見ることができてると思う・・・・・・」

慧は凛の頬を親指でス・・・・・と撫でた。
胸がドキドキしてくる。慧の目を見ることができなくてうつむいた。

「・・・・・西辻くんの方は?私の印象悪かったはずだよ。なんかたまに・・・・こういう一連の動作が、仕返しなんじゃないかって思うことがある」
「どういう意味?」
「つまり・・・・・・。西辻くんは実はまだ私にムカついていて、こういうのは全部演技で・・・・・。私が罠にかかったところで‘そんなんじゃないよ、バーカ’みたいな・・・・・」

慧が自分の額を凛の額に合わせてクスっと笑った。
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