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飛べないあの子
第4章 刻まれるキス
その日の午後。校長室に凛と慧は呼び出された。

「中谷先生、西辻先生、実はお二人が恋人の関係なんじゃないかという指摘が生徒から入りました」

慧はチラと凛を見た。
凛の横顔は人形のように微動だにせず、まっすぐ校長を見つめていた。

「駅の向こう側のスーパーで、お二人が仲良く買い物をしている姿を何度か目撃していると・・・・・・」

慧は内心ホッとした。不忍池でのキスが見られてたら弁解のしようがないが、買い物していた程度ではいくらでも誤魔化せる。
校長がコホンとわざとらしく咳払いをする。

「もしお二人がそういう関係なのであれば・・・・・・」
「違います。偶然買い物するタイミングが重なっただけです」

凛が淀みなく答える。
校長が慧を見上げて、あなたの言い分は?と目配せした。

「ご存知かと思いますが、私の自宅が近いので、買い物は専らあの店に行きます。頻度も二日や三日に一度は行きますから、中谷先生と何度かお会いしても不思議じゃありません。他の先生ともお会いすることはありますし」

慧も同じようにスルスルと答えた。
校長は、そうですかと頷くと、小さくため息をついた。

「生徒たちにとって大事な時期ですから、精神的に不安定になるようなことはなるべく避けて欲しいというのが本音です。お二人の間に問題がないとしても、少し気を付けていただきたいと思います」
「お騒がせして申し訳ございません。以後気を付けます」

凛が頭を下げたので、慧も続いて頭を下げた。

二人で無言で校長室を出る。

「・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・」

エレベーターに乗りこんで、扉が閉じた瞬間に話かける。

「中谷・・・・・・」
「西辻先生、しばらくは意識的に距離を取りましょう。生徒たちに悪影響を及ぼすようなことは、小さなことでも避けなくては」

凛は慧の方を見ようともせずに口早に言った。

「そうですね・・・・・・・」

三歩進んで三歩下がった気分だ。

(手強いなぁ・・・・・・・)

それでも慧は、またすぐに二人きりになるチャンスが来るだろうと高を括くっていた。

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