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飛べないあの子
第4章 刻まれるキス
大きなガラスの向こうには東京のビル群が延々と続いている。
開放的で眺めが良いことが売りのタワーマンションだが、凛はまったく魅力を感じていないみたいだ。落ち着かない・・・・・とボソっと呟いている。
「近所のフレンチのケータリングを頼んだんだ。本当は店に食べに行きたかったけど」
そう言って慧は皿をテーブルに運んだ。
「・・・・・西辻くんて、いつもこんなご飯食べてるの?」
「まさか。いつもは男一人だし、適当に作って食べてるよ。今日は中谷さんが来るから特別」
「西辻くんと一緒に暮らす人は大変だね」
凛はまるで他人事のように言った。
「・・・・・・・なんで?」
「だって、ここでカップラーメンとか食べられないもん。部屋だってこんなに綺麗じゃ、いろいろプレッシャー感じて倒れそう」
「別にカップラーメン食べたっていいよ。俺も食べるし。何も特別じゃないよ。大学行ってたときはめちゃくちゃ狭いマンション住んでたし、食生活も自炊して節約してたし。掃除は苦じゃないからやるけど、潔癖ってほどでもない」
凛を椅子に座らせて、ワインを手に取る。
「飲むよね?」
「今日は・・・・・・やめておこうかな・・・・・・・」
「一杯くらいいいでしょ?」
「・・・・・・じゃあ、一杯だけ」
凛はおずおずと椅子に座った。
「あれ、ワインセラー?」
「うん」
「でっかぁ・・・・・・。もう、なんか色々衝撃・・・・・・・。同い年でこんな生活してる人いるんだ・・・・・・・」
慧はワインを開けて凛のグラスに注いだ。
「前に学生時代に起業した話したよね?あの会社がそこそこ良い値段で売れて。その金でいろいろ投資とかして、まあ、しばらく遊んで暮らせるくらいにはなったかな」
「すごい・・・・・。なんか別世界の話だわ・・・・・・」
「一緒に会社立ち上げたやつが商才のある奴だったからラッキーだったんだよ。俺はそいつに便乗しただけ。何もすごくないよ。さ、食べよう」
慧は凛と向かい合う席に座って乾杯した。
凛はしばらくじっと黙っていたが、慧の顔を見ると何か吹っ切れたように背筋を伸ばして食事を始めた。
開放的で眺めが良いことが売りのタワーマンションだが、凛はまったく魅力を感じていないみたいだ。落ち着かない・・・・・とボソっと呟いている。
「近所のフレンチのケータリングを頼んだんだ。本当は店に食べに行きたかったけど」
そう言って慧は皿をテーブルに運んだ。
「・・・・・西辻くんて、いつもこんなご飯食べてるの?」
「まさか。いつもは男一人だし、適当に作って食べてるよ。今日は中谷さんが来るから特別」
「西辻くんと一緒に暮らす人は大変だね」
凛はまるで他人事のように言った。
「・・・・・・・なんで?」
「だって、ここでカップラーメンとか食べられないもん。部屋だってこんなに綺麗じゃ、いろいろプレッシャー感じて倒れそう」
「別にカップラーメン食べたっていいよ。俺も食べるし。何も特別じゃないよ。大学行ってたときはめちゃくちゃ狭いマンション住んでたし、食生活も自炊して節約してたし。掃除は苦じゃないからやるけど、潔癖ってほどでもない」
凛を椅子に座らせて、ワインを手に取る。
「飲むよね?」
「今日は・・・・・・やめておこうかな・・・・・・・」
「一杯くらいいいでしょ?」
「・・・・・・じゃあ、一杯だけ」
凛はおずおずと椅子に座った。
「あれ、ワインセラー?」
「うん」
「でっかぁ・・・・・・。もう、なんか色々衝撃・・・・・・・。同い年でこんな生活してる人いるんだ・・・・・・・」
慧はワインを開けて凛のグラスに注いだ。
「前に学生時代に起業した話したよね?あの会社がそこそこ良い値段で売れて。その金でいろいろ投資とかして、まあ、しばらく遊んで暮らせるくらいにはなったかな」
「すごい・・・・・。なんか別世界の話だわ・・・・・・」
「一緒に会社立ち上げたやつが商才のある奴だったからラッキーだったんだよ。俺はそいつに便乗しただけ。何もすごくないよ。さ、食べよう」
慧は凛と向かい合う席に座って乾杯した。
凛はしばらくじっと黙っていたが、慧の顔を見ると何か吹っ切れたように背筋を伸ばして食事を始めた。