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ごっこから何が生まれるのか
第1章 好みの男
「高木課長、何かいい事でもありました?」
ニコニコと笑みを浮かべ、いかにも平和主義者ですよなんて顔で近づいてくるのは、女性社員の岩見。ばっちり化粧を施し、凝った髪型をしている。朝からどれだけ時間を使うのだろうか。女性に産まれなくて良かった。なんて思いながら
「いいや、特別変わりは無いよ。岩見はどうだ仕事は進んでるのか?」
彼女のデスクに目配せをすれば、積み重なった書類。怒っているわけでもないし、彼女は上手く仕事を捌く事は知っている。
「呑気にお喋りでもしに来たのか?部長の監視、お前たちには分からないだろうけど怖いんだから頼むよ」
なんていかにもありそうな会話をし、岩見の肩をポンとしようと思った手を寸前でやめた。セクハラなんて言われたらたまったもんじゃないからな。
「課長気にし過ぎですよー。この課にセクハラなんて言う人居ませんから」
「念には念をね」
愛想笑いをしその場を後にする。そしてトイレの個室に入りスマホを取り出した。岩見との会話の最中に震えたのが分かったからだ。もしかしたら昨日の男からかと思い、普段会社では私用でスマホなんか見ない俺が、職場で見ていたら変だと思われるのを懸念し、わざわざ個室に入ったのだった。
そう、これも念には念をだ。