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ごっこから何が生まれるのか
第1章 好みの男



【昨日はどうも、朝起きられました?】

今どきのSNS。アイコンはペットだろうか。可愛らしい黒のチワワから吹き出しに文字が並べられた。相手には読んだ事を知らせる為に既読と付いただろう。


個室に入ったものの用をたす訳ではないので、便座にフタをし腰掛ける。直ぐに戻る為にササッと返事を打った。


【こちらこそ。大丈夫、起きられましたよ】


そっけない?
そりゃ、ゴリゴリ行ったら引かれるだろ?
こういうのは面倒だと思われない程度に、あっさり返した方がいい。次があるか分からないのなら、きっかけを作らなければいけない。楽しかったやら、また会いたいなどと返して面倒だと思われたんじゃたまらないからな。


「ん?」


返信をしてまだ1分も経たないのに既読と付いた。
すると短いが直ぐにチワワが喋っている。


【週末時間があれば】


次は直ぐにきたのだ。
こんなに早く誘いがくるとは思ってもいなかった。
軽快に親指が動く。俺のアイコンは設定していないからデフォルトの人型の影が喋っている様に見える。


【週末ですね、分かりました】


すぐさま既読が付き


【また連絡しますね】


と。まぁこんな感じでやりとりは終わる。
急いで戻るとまたしても岩見に言われた。
「いい事でもあったんですか?」と。



念には念をなんてこの程度かと頭を掻く。



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