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ごっこから何が生まれるのか
第2章 恋人ごっこ。
「すみません、待ちましたか?」
「いいえ、大丈夫ですよ」
俺より数センチ背の高い男は腕時計を一瞥し
「お互い早かったですね」なんて
柔らかな笑みをむけてくる。
「食事まだですよね?お腹空いてます?」
「そうですね、そこそこ」
嘘だ。腹なんて空いてない。
だが相手に合わせる。
「明日休みならゆっくり飲んでも平気ですか?近くに良さそうな店を、来る途中に見つけたんですよね」
その店の方向を指さし尋ねる。
「ではそこに行きましょうか」
ゆっくりを肯定するように返事をし、指が刺された方に体を向け歩き出す。頭の中では葛藤が始まる。食事後に行為をする事になる可能性はゼロではないから、あまり胃に物を入れたくない。ただ食べない訳にもいかない。軽く食事をしながら様子を見なければ。なんて事まで気にする始末だ。
店までは歩いて直ぐだった。特別会話をする訳でもなく男の後ろを付いていった。店は個室で和室。良さそうな店と男は言ったが、本当にその通りだった。