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第3章 中出しへのノルマ

翌週―――

ガチャッ…

僕は重苦しい雰囲気で裏口のドアを開けた。

「はぁ…」

「ん？お！」

入った途端、店長と会った。気さくな人柄の若いリーダーだ。

「おっす、蒲ちゃん。おめでとう」

「えっ？」

僕は店長の放った言葉が信じられなかった。

おめでとうとは、成績のことか？それとも皮肉か…？

「見ろよ！成績ボード」

「うっ…」

その一言を聞いて、少し苦しむような表情になった僕。

それでも1週間頑張ってきたんだ。自分なりに。

ダメ元でもみてみようと、店長に軽く会釈して横を通り成績表へ向かった。

そして…

「えっ…」

僕は言葉を失う。

なんと、先週の売上ランクの最上位に、僕の名前があったのだ。

「よくやったじゃねぇか！蒲ちゃん！これからも期待するぞ」

拍手で僕を称えた店長。

この結果をやっと理解した僕は、ふぅっと一息ついた。

達成感よりも、やりきった感が強い。いざ目標を達成したという時、今まではち切れそうな不安を持っていた事が馬鹿馬鹿しく感じられるようなものだ。

その後、僕はやっと肩の力を抜かせた。

そして少し半笑いになった。こんな事のために頑張ってきたのだ。

「何笑ってんだよ～」

その時、フロントに通じる扉からあかりがやってきた。

「おはようございます」

「これで…中出しOKだな」

僕が挨拶した途端、あかりは吐息をかけるようにして耳元で囁いた。

あかりも嬉しそうだ。

「んま…そりゃそうっすけどね。でも、なんで僕が1位なんかに。休み前って先輩が1位のままでその日はめっちゃ暇でしたからね」

あかりは耳元から離れ、言った。

「あの少しの売上で逆転したんだよ。本当に僅差でな」

数字をよく見ると本当に僅差だったようだ。

「マジか…めっちゃ頑張った…」

「良かったなぁ、それで、いつしたい？」